「ダチョウ倶楽部をはじめたのが23歳ですから、かれこれ36年ですか……。テレビに出してもらったり、ドラマに出たり、あっという間でした。思い返せば天狗になった時期もありますし、リアクションやめたいと思ったことも一度や二度じゃないですよ」

 ハンチング帽をくるりと回したかと思えばブリーフ1枚でスタジオを駆け回り、お約束の一発ギャグでその場を締める。バラエティー番組で“リアクション芸”から“すべり芸”まで持てる武器を出し切るのが芸人・上島竜兵(60)の生き様だ。

「熱湯風呂」「アツアツおでん」と体を張った笑いを作り続けてきた上島さんも今年で還暦。長いキャリアにもかかわらずまったく威張らない謙虚さが後輩芸人に慕われ、土田晃之、有吉弘行、劇団ひとりらで結成された「竜兵会」は有名に。大御所の先輩芸人にも可愛がられてきた上島さんだが、実は「天狗になった」時期もあったという。天狗という言葉がもっとも似合わないリアクション芸人・上島竜兵の知られざる葛藤とは……。

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ダチョウ倶楽部の上島竜兵さん Ⓒ文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔

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――還暦おめでとうございます。36年とキャリアも長いですが、肩書としては上島さんは何とお呼びするのがいいんでしょう。

上島 僕の中でも3周くらいしましたけど、やっぱり「リアクション芸人」ということになるんですかね。自分としてはギャグと本音をそのまま出してるだけなんですけど、リアクションこそが上島竜兵を支えてくれた気がします。

 

――リアクション芸を武器にすることについて、上島さんの中でも何周も迷いがあったのですか?

上島 そうですね。僕だって痛いのや熱いのが好きなわけではないですからね(笑)。「今日はもう振られたくないな」とか思う日もあります。そんなこと芸人が思っちゃいけないんですけど(笑)。