――毎日一緒にいるとどんなことを志村さんと話すんでしょう。
上島 なんか、よく叱られてましたね。内容はだいたい仕事のことです。遊び始めた時は上機嫌なんですけど、お酒が回ってくると説教されるんです。たとえば旅番組の話になって、「カメラマンって必要ない時もずっと撮ってますよね」みたいに愚痴を言ったら、師匠は「だから打ち合わせの時に企画をちゃんと聞いて提案するんだろ? マネージャーが持ってきた時はOKしておいて、現場で急に文句を言ってもダメ。何もしないでお前は何を言ってるんだ」って。本当にその通りで恥ずかしくなりました。
――それでも志村さんは、上島さんを評価していたから一緒の仕事に呼び続けてくれたんですよね?
上島 そうなんですかねぇ。志村さんと加藤茶さんがやっていた2人コントの、加藤さんの役を僕がやることになったことがあるんですけど、加藤さんは天才だから全然勝負にならないんですよ。リーダーに「やる時はケツまくって竜ちゃんのやり方でやるほうがいい」って言われて自分なりにやってはみるものの、失敗ばっかりでした。でも1回だけ寝台車のネタをやった時に「志村さんを食ってたんじゃない?」って周りの人に褒めてもらって、志村さんも上機嫌で嬉しかったのを覚えてます。今でも忘れられません。
熱湯風呂に落ちる僕よりも…
――上島さんにとって志村さんはどんな存在だったんですか?
上島 芸というか、人としての生き様を教えてもらいましたね。いいことも悪いことも、全部志村さんが教えてくれたような気がします。
――そしてつい忘れそうになりますが、上島さんの芸にはいろんな先輩の教えが詰まっているんですね。
上島 リアクション芸がウケるのはやっぱり振りの力が大きくて、殿や志村さんの振りがあるから僕らがウケるんですよ。それはバンジージャンプでも熱湯風呂でも同じ。「押すなよ」って言いながら熱湯風呂に落ちる僕よりも、風呂の周りで「熱い!」って騒いでくれてる人たちの方が実は大変だし、難しいことをしてるんです。回りの人がいなかったらリアクション芸は成り立たない。上島竜兵はそういう芸人です(笑)。(#3につづく)