「できるだけ長く聴いていたいなあ。ずっと歌っていてほしい」と願ってやまない人がいる。

「きっと神様から与えられた意味があるんだろう」と感じる、特別な声の持ち主がいる。

 私にとって、この2つをコンプリートする存在、それが中島美嘉さんだ。

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 特にこれから寒い冬。「雪の華」「ORION」、彼女の名曲と滅法相性のいい季節である。

初の全国ツアーで熱唱する中島美嘉(2002年)

 そして新曲「SYMPHONIA」! つい最近、つけっぱなしのテレビから、この曲を歌う中島美嘉の声が聴こえてきた。「美しい音楽」という歌詞と、彼女の沸騰したような美しいファルセットがリンクし、音符が舞っているようだった。

 ああ、やっぱり彼女の声はいいなあ!

20年前のデビュー当時は……

 中島美嘉は今年20周年。「もうそんなに経ったのか」と思うと同時に「まだ20年なのか」とも思う彼女の不思議。「信じてもらえないと思って隠していましたが、実は今年20周年でなく、200周年になります」と公式発表されても私は「なるほど」と納得してしまうだろう。

 が、もちろんそんなことはなく、中島美嘉がデビューしたのは2001年。当時すでに多くの女性アーティストが大活躍していた。MISIA、矢井田瞳、椎名林檎、aiko、宇多田ヒカル、倉木麻衣、島谷ひとみ……。歌の神様が「さあガールズたち、JPOPに革命起こして来なさい!」と天才少女たちをガシガシとステージに送り込んできた、そんな時代だった。

 いろんなタイプの歌姫がいたけれど、中島美嘉は飛び抜けて華奢に見えた。その細く儚さを感じる姿で、「STARS」というベテランアーティストの勝負曲としてもじゅうぶん通用するような壮大なバラードを歌うギャップ! これを10代の女の子のデビュー曲にするのか、と仰天した。

デビュー曲「STARS」(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)

 そもそも「STARS」は彼女が芸能界デビューしたドラマ「傷だらけのラブソング」の主題歌。スター誕生に掛けていたのだろう。が、私はこれを観ていなかった(観たかった……。リアルタイムで観た方本当に羨ましい)。だから歌番組で初めて見たときは「いきなり感」がすごかった。凄まじく美しい少女がすごいバラード歌ってるけど、ええと誰!? 状態であった。

かぐや姫のような“居場所のなさ”

「居場所がなさそう」な風情は浜崎あゆみと似ていたが、中島美嘉は、それを探すのでなく遠く遠くの星を懐かしく見ている感じ。

 かぐや姫が月に戻る機会を逃し、芸能界デビューしたらこんな感じなのかも。カネボウ化粧品KATEのCMソングで使われた7thシングル「Love Addict」のMVで、彼女が月面で歌っているシーンがあるが、まさに、私が感じた当時の彼女のイメージはそれだった。