最近は終息の傾向を見せているコロナ禍であるが、約2年近くにわたって日本社会を蝕んできた裏側で、住宅ローンの延滞問題が生じている。

 フラット35を提供している住宅金融支援機構の調査によれば、ローン返済が困難になっているリスク管理債権が貸付金残高に占める比率は、2015年度で5.12%であったものが2019年度は3.20%まで縮まっていた。しかし、2020年度には3.48%に上昇。2021年度にはこの数値がさらに悪化することが見込まれている。

 コロナ禍によって、収入が減少してしまったことが主な要因である。勤め先に解雇される、給与が減る、賞与が減るまたは支給されない、事業主は売上が減少するなど、コロナ禍は多くの人々に多大な影響を与えている。

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住宅ローンの延滞で優遇金利の適用がなくなる

 フラット35では貸付条件として、ローンの年間総返済額を年収400万円以上では、年収の35%を上限としているが、一般的には年収の25%程度を上限としないと生活は苦しくなるといわれている。

 住宅ローンを延滞し始めると気を付けなければならないのは、民間金融機関から借りている場合、貸付開始当初に優遇金利の適用を受けていると、その優遇がなくなり、店頭金利に切り替えられてしまうことだ。ただでさえ返済が苦しいのに金利を一方的に上げられてしまうのは「池に落ちた犬を棒でたたく」に等しい仕打ちにも見えるが、金融機関はこうしたケースでは結構冷酷である。

一番の対処法は、任意売却で売り払うこと

 また延滞が3か月から6か月も続くと、「期限の利益の喪失」を主張され、自宅を強制競売にかけられてしまう。それによっても債権額の回収ができない場合には、自己破産にまで至るケースもある。

 対応策の多くは、金融機関に出向いて一定期間の返済猶予やローン期間を延長することで毎月の返済額を減額する、ボーナス払いを停止してもらうなどであるが、いずれの策も借り入れた債権額が減るわけではなく、問題先送りにすぎない。一番の対処法は、任意売却で売り払ってしまうことだ。ローン残高よりも売却額が高ければ、という前提がつくが。