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「“生きづらさ”を考慮しても死刑が妥当」

「死刑は一般的に2人以上を殺した上で、動機や被害者の遺族感情などさまざまな指標を元に判断します。最近では裁判員裁判の影響もあり、殺したのが1人でも死刑判決が出るケースも増えている印象です。

 久保木被告は判決で言われている通り、身勝手な動機で被害者に壮絶な死を強いたわけです。しかも本当の被害者は3人どころではないですからね。久保木被告のこれまでの“生きづらさ”を考慮しても、責任能力があると認定されれば、死刑が妥当であるように思います」

 これまでの公判を振り返ると、久保木被告の《対人関係等の対応力に難がある》とされる性質についての証言はいくつかあった。弁護側の情状証人として法廷に立った臨床心理士は、久保木被告の面談で聞き取った“孤独な少女時代”について証言している。

久保木愛弓被告の自宅の家宅捜索に向かう捜査員ら ©️共同通信社

出会い系で男性と会って自尊心を満たした

 幼少期は母親に叱られることを恐れ、学生時代も仲のいい友人ができずに孤立していたという。看護師の専門学校に入ってからは、患者と上手くコミュニケーションが取れない、患者の状況に応じた観察記録が書けないなど、自閉症スペクトラムの性質ゆえの苦難があったようだ。

「病院に就職してからも現場で上手く対応できず、ストレスをためていたようです。それで寮の壁を蹴って穴をあけたりしていたと。印象的だったのは、出会い系サイトを利用していたことでしょうか。男性と会うと褒められるため、それで自尊心を満たしていたようです。ほかにも1人で声優のライブに行っていたこともあったようです。確かにそういったエピソードからは、久保木被告の孤独や困難が浮かび上がる面もあります。ただ、久保木被告が犯した罪を考えると、それで罪が軽くなるとは思えませんよ。

 無期懲役を言い渡された後、家令裁判長に『わかりましたか』と聞かれたときの久保木被告の『はい』という返事は、いつもボソボソ小さな声でしゃべる中でもっとも明るく、元気があったように感じたのは気のせいでしょうか……」(前出・社会部司法記者)

 想定外の極刑回避について、遺族も混乱している。亡くなった西川惣蔵さん(当時88)の遺族はこうコメントしている。

「3人を殺害したという事実や、完全な責任能力があることなどはすべて認められたのに、謝罪を述べたことや、公判の最後に死んで償うと述べたこと、被告人の経歴、性格などから無期懲役の選択がなされたという判断には納得がいきません」

 この事件に関してはまだ一審が終わったばかり。今後の展開に注目が集まる。

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