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良いこと悪いこと、人生半分半分

――曺監督自身、新たな発見を求めるからこそ、そこに辿り着けるようにも感じます。

「毎年、勉強になります。でも今年は例年以上にと言っていいぐらい、学べることが多かったという感覚がある。たとえば試合って、勝利を目指すわけじゃないですか。そのうえで自分たちの良さを出していかなきゃいけない。でも、良さを出せない場合がある。どんな相手でも自分の良さを出せるようにすることを僕はまず考えてきた」

――それが変わってきた、と?

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「相手の実力が上だったり、研究されたりして、受けて戦うこと自体、僕が嫌だった。だから、どんな相手でも自分たちの良さを出そう、と。でも思ったんです。選手が『まず勝ちたい』と思っているのに、僕が『どう勝つか』と理想を追っかけてしまえば、僕の言葉に選手が違和感を覚えるんじゃないか、と。シーズンが開幕して2カ月ぐらい経ったときに、あっ、これはちょっと違うなと思いました」

――「自分たちの良さを出す」に、引っ張られなくなった。曺監督も今年、変化していったわけですね。

「そうです。そうなると今度は僕自身、開き直りみたいなものが出てきました。うまくいかなくても、俺、全部できないよって(笑)」

©杉山拓也/文藝春秋

――何か大切にしている言葉があれば、教えてください。

「いろいろあるんだけど、『良いこと悪いこと、人生半分半分』という言葉は大切にしてますね。『俺は良いことのほうが多い』『俺は悪いことのほうが多い』ってみなさん人それぞれかもしれない。でも僕は良いことも5割、悪いことも5割だと思っていて、優勝したけど、これからはいいことばかりじゃないぞと考える。

 でもこれって何を言いたいかというと、たとえどんなことが起ころうとも、悪いことも自分に課せられたものなんだから逃げずに乗り越えていこうよっていう意味があると思うんです」

――じゃあ優勝した今も……。

「そうですよ、優勝に浸っている時間がもったいないですね(笑)。もし結果が出ないときに何をするかということへの準備を、今からやっておかないといけませんから」