1ページ目から読む
2/2ページ目

当局による取調べが始まる

 8か月後、山本は収容所に戻ってきたが、どんな取調べを受けたかは誰にも話さなかった。やがて、日本人捕虜の帰還が発表される。しかし、前述の通り、山本は帰国直前に列車から降ろされてしまうのだった……。

 
 

 帰還列車から降ろされた山本は、ハバロフスクの収容所に逆戻りしてしまう。そこで「反ソ」「反動」「帝国主義者」として、山本は活動家たちから猛烈な吊るし上げを受ける。山本は半死半生の状態で、収容所の病院に運び込まれる。

 

 スパイ罪による戦犯とされた山本幡男は、「地獄谷」と呼ばれる収容所に連行される。そこはソ連人の凶悪犯が仕切っていた最悪の収容所で、「ペンチで金歯を抜かれた人もいた」。そこで山本幡男は想像を絶する過酷な日々を過ごす……。

ADVERTISEMENT

 

 その後、山本はハバロフスク郊外の第21分所に再収容された。帰国の見込みがまったく立たない状況のなかで、山本は仲間を誘って句会を催すことにした。「俳句を一緒につくりませんか? アムール句会と名付けたんです」──。

 

 その後の山本の運命は……続きは、文春オンラインの連載でお楽しみください。

収容所(ラーゲリ)から来た遺書 (文春文庫)

じゅん, 辺見

文藝春秋

1992年6月10日 発売