今大会、駒澤大学は主力が何人も故障し、ベストメンバーを揃えることができませんでした。そこで前半区間は駅伝経験の少ない選手を配置、6、7、8区に出雲駅伝で好走した実績のある選手を置き、後半勝負に賭けてきた。このエントリーを見たとき、メディアや関係者が「駒澤大丈夫か?」とざわついたほど。しかし、勝負所にはアシックスのシューズがありました。
アシックスのシューズで競り勝った、駒大のルーキーとアンカー
1区に選ばれたのは1年生ルーキーの佐藤条二選手。5000mの持ちタイムはチーム4位の13分40秒99。スピードはありますが、駅伝には初登場。近年、1区で出遅れると、その後の挽回が難しくなることから、実績のあるランナーを置く傾向があるなか、ルーキが大抜擢。スタートラインで紐をしめなおしていたシューズがメタスピードでした。
全日本1区大本命は5000mU20日本記録を持つ中央大学の吉居大和選手。スパートの切れも学生トップ。ところが、なんとルーキー佐藤選手が、あの吉居選手にラスト勝負で競り勝ったのです。しかも1区区間新記録のおまけつき。
そして駒澤大学でもう1人アシックスを履いていた選手がいます。
アンカーの花尾恭輔選手です。
最終8区、トップでタスキを受けた花尾選手ですが、実は今年5月に行われた関東インカレのハーフマラソンで、青山学院大学の西久保遼選手にラスト勝負で負けています。今回、その青山学院大学のキャプテン飯田貴之選手との勝負になりました。
8km地点で飯田選手に追いつかれた花尾選手。この時点で多くの人が青学の逆転優勝を予想したでしょう。しかし、追われているはずの花尾選手は焦ることなくすいすいリズムよく走っていく。残り2kmでロングスパートを仕掛けた花尾選手の切り替えに、飯田選手はついていくことができませんでした。1区に続き、またしてもメタスピードを履いた選手がラスト勝負で競り勝ち、見事、優勝を飾るのです。
花尾選手のレース展開で見えてきた長距離での安定性と反応の良さ。「あのシューズ、駅伝で使えるんじゃね?」と、逆境に立ち向かうアシックスの絶好のプロモーションになったでしょう。