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「男前大作戦」を仕掛けた青山学院大学

 最後は今回わずか8秒差で優勝に届かなかった青山学院大学です。

 青山学院大学は駅伝のたびに「〇〇大作戦」と原晋監督からテーマが発表されます。このテーマはとてもわかりやすい。マスコミやファンに向けてのリップサービスでなく、「今回、うちはこういうプランで走るよ」と選手たちにも意識付けするという狙いがあります。

 今年のテーマは「男前大作戦」。

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 青学のイケメンランナーたちが駒澤大学・大八木弘明監督のおなじみの檄「男だろ!」の前、つまり駒澤大学の前を行くという意味が込められています。

 ところが、その駒澤に8秒差で負けてしまった。大差で負けたなら諦めもついたかもしれません。だけどたった8秒差です。青山学院大学・原監督の中では、勝つための完璧なストーリーができていたのでしょう。多少の失敗があってもリカバリーできるという計算もあったはずです。

 しかも駒澤大学は故障者を抱えてベストメンバーではなかった。それでも負けたんです。

頭をかきむしって悔しがった青学の原監督

 駒澤大学の優勝インタビューの最中、頭をかきむしって悔しがった青学の原監督の姿がありました。

悔しがる青山学院大学の原晋監督

 相当悔しかったんでしょう。あれだけマスコミ対応が上手で、自分の感情を押し殺してリップサービスをできる原監督が、レース後は頭をかきむしって悔しがっていた。

 あんなに感情をあらわにした原監督の姿を、僕はこれまで見たことがありません。「駅伝で優勝を逃しても笑顔でスマートにゴールしよう」というのが青学駅伝のスクールカラーでしたから。

 青山学院大学といえばスマートで格好いい印象がありますが、あの悔しがり方を見ると、箱根では執念を燃やして、泥臭い戦いをするのではないか。

 駒澤大学は青学大の闘志にめちゃくちゃ火をつけてしまったわけです。

 箱根で青学大はどえらいことを起こすんじゃないか。原監督の悔しがり方を見ていてそう確信しました。青学大の熱さに注目したいですね。

青山学院大学の原晋監督

 撮影/EKIDEN News 構成/林田順子(モオ)