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 松本隆はシュガー・ベイブについてはどう見ていたのだろうか。

「はっぴいえんどの功績のひとつが、解散の時に各自バンドをプロデュースするというノルマがあったことだよね。大瀧さんは伊藤銀次のごまのはえと達郎のシュガー・

風街とデラシネ 作詞家・松本隆の50年(KADOKAWA)

ベイブ。細野さんはのちにティン・パン・アレーになるキャラメル・ママや吉田美奈子、僕は南佳孝とオリジナル・ムーンライダーズ。どれもいま流行りのシティポップスの源流ですよ。YMOの解散とかは、“木”にはなってない。はっぴいえんどの解散はそこからジャンルが始まった。種を蒔いたよね。でも、大瀧さんは自分のことに関しては秘密主義だったんで手の内をさらさないわけ。スタジオのチャンネルの操作なんかでも子供がお弁当を食べる時のように隠しながらやるみたいな子供っぽいところがあったんで、シュガー・ベイブももちろん知ってはいたけど、ごまのはえとの関係とか、いまいちわかってないよ。『ハイティーン☆ブギ』は『RIDE ON TIME』の後で、もう達郎は売れてたから、シュガー・ベイブという意識では見てなかったと思う」

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「硝子の少年」は山下達郎が考えるジャニーズ原風景

 山下達郎は、もともとは97年に出た「筒美京平 Hitstory Ultimate Collection 1967~1997 2013 Edition」の解説書の10頁に及ぶロングインタビューの中で、「中学に入る頃ジャニーズのファンでね」、「ジャニーズはすばらしく好きだったの。あの妙にバタ臭い感覚」と言いつつ、「硝子の少年」についてこう話している。

 今回、十何年ぶりにジャニーズで KinKi Kidsやって、あれもすごい悩んだわけ。でもジャニーズってもう35年ぐらい経ってるから、もう伝統芸能だと思ったわけ。伝統芸能としてのジャニーズメロって絶対あるんですよ。それでここでまた考えたの。今、筒美さんだったらどういう曲書くのかって。これが「硝子の少年」という曲のコンセプトのすべてで、その意味では確信犯的にジャニーズはこれなんだって。

 あれは僕の考えるジャニーズ原風景で、あの色っていうかさ、あれを出そうって、これはデビュー曲だから、これだったら10年たっても、KinKi Kidsが30になったってうたえるって。