2021年10月1日に解除された緊急事態宣言。

 さらに11月に入ると新型コロナウイルスの新規感染者は、一日に2桁ほどまで下がった。長かったコロナ禍の生活からも、ようやく抜け出せるような兆しが見えてきた。

 私は、昨年末から文春オンラインで、和歌山の天王新地、大阪の泉の広場、群馬県の伊香保、札幌のススキノ、東京の吉原といったコロナ禍の色街を訪ね、そこで働く女性たちに話を聞いてきた。

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 いま、ようやく新型コロナウイルスの流行がひと段落したとき、ふと考えたことがある。これまで話を聞かせてくれた女性たちは、一体どうしているだろうか? 客足は以前のように戻りつつあるのか。それとも変わらず、冷え込んだままなのか――。

 そんな疑問を胸に抱いて私がまず足を運んだのは、400年の歴史がある東京の色街・吉原。2021年2月に私は真理子というソープ嬢にインタビューをしているが、再び彼女に現状を聞いた。(全2回の2回目/前編を読む

©八木澤高明

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店の待機室には女の子が2、3人いるように

「緊急事態宣言があけてから、お客様が入っているなという実感はありますね。上野や三ノ輪へ行く送迎の車が以前より多く行き来していますし、少しずつ活気が戻っているような気がします。私のお客様もコロナが流行っている間、まったく連絡がなかった人からも電話がかかってくるようになり、実際にお店に来てくれるようになりました」

 店の中では、どのような点に彼女はコロナ禍とその後の違いを感じたのだろうか。

「これまでは、お店の待機室に女の子がいなかったんですけど、今では2、3人はいるようになりましたね。特に土日は、お店の部屋がいっぱいになるんです。あけてすぐの時には、他のお店に部屋借りをしたほどでした。そんなことは、コロナが流行っている時ではあり得ませんでした。だけど、すべての女の子が忙しいわけではなくて、女の子の明暗がはっきりするようになりましたね」

話を聞いた真理子さん(33) ©八木澤高明

パパ活やギャラ飲みで稼ぎを補填、出会い系アプリで愛人に

――それはどういうことですか?

「私の同僚の女の子に、ホストと同棲していたんですけど、コロナ期間に別れて、昼職をしながらお店に復帰した子がいるんです。その子は、予約が入った時しか出勤させてもらえなくなってしまって、出勤調整が行われているんです」

――そういった女性はどうしているんですか?

「パパ活だとかギャラ飲みだと聞いています。同僚の子は出会い系のアプリで、愛人になって何とか生活していると言っていました。一回会うと5万円で、月に5回ほど会うので、月末に25万円もらっているそうです。コロナ前なら彼女は月に100万円は稼げたと思うんですけど、かなりの減収ですよね。彼女にとって厳しい状況は、緊急事態宣言があけても変わらないですね」