地方の風俗店は、出稼ぎ女性の受け入れに及び腰
コロナが流行する以前であれば、吉原にこだわらずとも、出稼ぎと呼ばれる、全国各地の風俗街への出張があったという。実際に真理子も、コロナ前に岐阜の金津園などに出稼ぎに行ったことがあったという。それも、コロナ禍で条件が悪くなり、今も戻っていないという。
「コロナ前だったら、出稼ぎに行けば、交通費とホテル代にプラスして1日6万円だとか、お茶を引いても、最低保証がお店から出ていたんですけど、そういう保証がなくなりました。地方のお店も、東京周辺の女の子に来て欲しくないという思いもあるんじゃないですか」
実際に2020年7月には青森県の男性警察官が、青森市内で派遣型のファッションヘルスを利用して、新型コロナウイルスに感染したという事例がある。感染元の女性は茨城県の在住だった。彼女は真理子が言う出稼ぎで青森に行ったと考えられる。地方の風俗店も、新型コロナが広がるにつれて、出稼ぎ女性の受け入れに及び腰になっていったのは、想像に難くない。
70代のお客さんと、一年半ぶりに銀座でお寿司
風俗業界は、厳しい状況が続いているようだが、真理子自身はどうなのだろうか。
「地方のお客様が来てくれるようになったのと、ご高齢のおじい様方も戻ってきてくれましたね。そのうちのひとりで70代のおじいさまで、一方的に婚約指輪を渡してきたお客様がいるんですけど、1年半ぶりに銀座でお寿司を食べました。お店は銀座の女性と同伴する方々で満席でした。コロナ前は、月に1度はお会いしていたんですが、コロナが流行っている間は、会いましょうという連絡は一切ありませんでした。『私からは逃げられませんからね』と会うたびに耳元で囁かれるんですけど、以前は『うざいな』と思っていましたが、久しぶりにその言葉を聞いて、何となく日常が戻ってきたような気になりました」
今後新型コロナウイルスの流行がどのようになるのか、まだまだ予断を許さない。ただ、真理子は今年の前半よりは、状況が改善しつつあることを実感している。一方で、吉原のソープランドだけでなく、デリヘルでの仕事も掛け持ちしているという。もしものために備えを怠らない彼女たちの逞しさは、いつの時代も変わらないのだった。