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限界だろうと思ってもなぜか揺らがないハラスメント政治

武田 今回の本で、今、日本は先進国の中でもっとも「統治しやすい国」になっているとの指摘がありました。政治家が自分の身内ばかり優遇するような政治で私腹を肥やしても、国民の半数近くは黙って現在の政権を支持している。この1年半のコロナ禍の対応を振り返ってみると、とにかく、まずは自助でなんとかしろ、公助とかそう簡単に言うな、俺たちは絶対にオリンピックをやるつもりでいる、コロナが改善してきたら俺たちのおかげ、大変になってきたらお前たちのせい……こんなハラスメント政治はもう限界だろうと思っても、体制がなぜか揺らがない。疲弊します。

内田 気持ちはわかります。でも、僕はそれほど悲観していません。世の中の潮目、風向きは変わる時に一気に変わるからです。日本新党が出てきた時や、2009年に民主党が政権をとった時もそうです。古くは60年代の学園紛争の時もそうでした。三派全学連が結成されたのは66年ですが、そんな動きを僕たちはまったく知らなかった。新聞だって報道しませんから。でも、それがわずか1年後には日本中の大学を無法地帯にするほどの運動にひろがった。こうした変化は、きちんと歴史的条件が整ってから起こるというわけではなく、ある日いきなり始まるんです。時代は必ず変わります。いまみたいに国力がどんどん衰微し、国民生活が日々貧しくなって、市民的自由を制約する体制がこれから先もずっと続いていくことは決してないです。明けない夜はありません。

「長いものには巻かれろ」が若い人のリアリズム

武田 今、若い人たちに向けて「生活に満足してますか?」というアンケートをとると、生活満足度が高く出るんですね。生活の実態はかなりしんどくても、いざ問われると、「でもまあ、こんなもんだろ」と受け止める。悲観的な展望かもしれないですが、今後の総選挙でも、この「統治しやすい国」がさらに強化されてしまうんじゃないかと感じています。

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内田 若い人たちの回答は生活実感の中から生まれた言葉ではないと思います。「こういう質問にはこう答えておけばいいんじゃない」という空気に乗って「べつに自民党でいいんじゃないですか?」と軽く言ってるだけで、とくに強い信念に基づく言葉じゃないと思う。いまは「長いものには巻かれろ」「寄らば大樹の陰」というのがリアリズムだと若い人は信じている。政治に関して現状肯定的なことを言っている方が「クール」でかっこいいと思っている。だから、現状肯定的になる。いまも昔も実はあまり変わりはないんです。昔は反権力がクールで「かっこいい」と思われたので、そうした。いまはデモに行ったり、熱く権力批判を語ったりするのは「かっこ悪い」と思われているから、やらない。どちらもそれほど深い信念に基づくことじゃないと思います。

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