著者は国内外の錚々たる研究所勤務を経て、現在は東京大学定量生命科学研究所教授を務める生物学者。今も第一線でゲノム研究に邁進する著者が、身近で普遍的なテーマの「死」を考察した新書がヒット中だ。
「宗教や哲学に依らずに、科学の視点で死の意味を捉え直した点が新鮮でした。読んだら魔法のように死への恐れが消えるわけではないですが、それを受け入れ、どう生きるかというところまで思考を巡らすことができる。『死は全生物にとって必要な仕組み』なのだと生物学的に説明してもらうことで、心が軽くなるような感覚がありますね」(担当編集者の家田有美子さん)
地球に生物が誕生したことの不思議。生物が絶滅することの意味。そもそも生物の死とはどのような現象で、ひいては、ヒトが死ぬとはどういうことなのか。そして、死なないAIの登場は、世界をどう変えるのか。多岐に渡る話題を、流麗な論理とユーモアを交えた文体で、巧みに一本の主題に繋ぎ合わせている。
「読者には小学生もいると聞いて驚きましたが、死というテーマへの興味は年齢を問いません。本書のキーワードの一つ『ターンオーバー』をビジネスの分析に結びつける方もいれば、地方紙の社説では政界の新陳代謝を語る際に引き合いに出されました。様々な受け取り方ができる本なのだと感じています」(家田さん)
2021年4月発売。初版1万部。現在10刷10万部(電子含む)