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買収に踏み切った理由
買収の最大のリスクは、スピードウェイに併設されたガソリンスタンドを抱えることでした。世界的に脱炭素社会への動きが加速するなか、時代に逆行する買収ではないかという懸念は私たちにもありました。自動車大国アメリカでもガソリン需要が減っていくことは予想されますから、経営に相応の影響が出ることは考えておかなければなりません。私たちもガソリン販売のデータは注意深く検討しました。
すると意外なことにコロナ禍で需要が減っているにもかかわらず、ガソリン販売の粗利総額はほぼ落ちず、想像以上に収益が安定していることを再確認できました。アメリカの石油業界は元売りと小売りが完全に分離しており、小売りに関しては原油価格が大きく変動しても一定の利益を確保するための経営努力がなされているのです。
買収に踏み切った、もう1つの理由は、生活を支えるモビリティとしての自動車はアメリカではなくならないだろうということ。ガソリン車は減るかもしれません。しかし電気自動車になれば急速充電装置、水素自動車になれば水素を充填する装置とその設置場所が必要になる。
そうなれば、国策として整備が進みますからアメリカ政府の協力も得ながらガソリンポンプを急速充電器に替えていけるのではないか。もちろん米政府を当てにするばかりではなく、当社独自でも2022年末までに250店舗に500基の急速充電設備を設置していく予定ですが、いずれにしろコンビニエンスストアが自動車のエネルギーステーションであり続けるだろうという予測が買収を決断した背景にありました。