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渦中の人・彭帥選手のめざましい活躍

 今回渦中の人となった彭帥が台湾の謝淑薇(シェイ・スーウェイ)とともにウィンブルドンと全仏オープンを制覇するのは2013年と2014年と少しあとになるが、女子ダブルスは中国のお家芸といってもいいくらいの活躍を見せてきた。

 先に結果を出したのはダブルスだったが、シングルスでものちに世界2位まで駆け上がる李娜(リー・ナ)というスーパースターが現れる。2010年の全豪オープンでこの李娜と鄭潔が揃ってベスト4に進出した衝撃の翌年、李娜は全仏オープンを制し、2014年には全豪オープンも制した。中国旋風の影響は、2014年に李娜が絶頂期のまま引退したあともなお今にいたるまで残っている。

全勝優勝なら約5億1200万円、度肝を抜いた賞金額

 こうした中国のテニス事情の一方で、世界全体としてはやはり女子テニスの人気は男子にかなわず、WTAは運営に苦慮していた実情がある。新たな市場を求めていたWTAと、テニスというツールでグローバル・イメージをさらに高めたい中国の思惑が合致した。

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人民大会堂 ©️iStock.com

 チャイナマネーの威力と中国市場のエネルギーを見せつけた“コラボ”の規模は、2019年に10年契約で深圳に招致した『WTAファイナルズ』で最高潮に達したといえるかもしれない。年間の成績上位8人によって争われるツアー最高峰の大会だが、冠スポンサーには資生堂がつき、その賞金額は皆の度肝を抜いた。

 ラウンドロビン(総当たり戦)から決勝トーナメントというフォーマットで戦われるのだが、全勝優勝なら賞金は472万5000ドル(約5億1200万円)にのぼった。グランドスラムの賞金を優に上回り、男子の『ATPファイナルズ』と比べるとその2倍近い額でもあった。男女を通した個人のスポーツにおいて歴史上もっとも高額な賞金である。