中国のテニスビジネスを揺るがす第二のパンチ
しかしこのWTAファイナルズを含めて中国で開催されていた全ての大会が、コロナ禍で中止された。ツアーにとっての損失ははかりしれない。北京五輪を成功裏に終えさえすれば再び国際大会の開催へ向かうと見られていたが、今のところまだ来年のツアーカレンダーは男女ともに発表されておらず、意向は明確には見えていない。
どの国も先がなかなか見通せない現状の中、スケジュールが決まらないのは中国だけのせいではないが、そこに新たに彭帥の問題が加われば、来年のスケジュールはますます不透明になる。万が一にも、中国から撤退などということが現実になるとしたら、それは中国だけの問題にとどまらない。
男女ともに中国で開催されるツアーレベルの大会はほとんどの日程が、アジア・シリーズと呼ばれる秋だ。東京で開催される『ATP500』の楽天ジャパンオープンや『WTA500』の東レパンパシフィックオープン、広島で開催される『WTA250』の花キューピットオープンもその中にあるが、男女ともにアジアの目玉の大会は中国にある。それらがなくなれば、世界のトッププレーヤーたちはアジアに来るだろうか。
アジアの他の国々が中国での大会をすべて分担して引き受けることができればいいが、中国が猛烈な勢いで築いてきたような多くの立派なテニス施設は他のアジアのどこにもない。
昨年に続いて今年も、日本でのツアー大会はすべて中止となったが、それは日本の入国制限だけのせいではない。今や中国が開かなければどうしようもないのだ。
コロナに次ぎ、巨大化したテニスビジネスを揺るがす第二のパンチがまさかこんなところから出てくるとはーー。解決の条件である「彭帥の本当の声」はいつ聞こえてくるのだろうか。