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 2018年2月の平昌冬季五輪の会場となった江原道平昌郡や江陵市では、多くの飲食店や土産物店が五輪に向けて外国語の看板を設置した。

 その中には、「めんそおれ」と掲げた店もあった(写真9)。店主かあるいは店主と親しい人に、沖縄旅行を楽しんだ人がいたに違いない。

写真9:平昌五輪を前に外国語看板を掲げた江原道平昌郡の食堂

「トンデムン・ヨッサムンファゴンウォン駅」ってどこ…?

 こうした微笑ましい日本語表記が多いなか、在韓日本人の悩みの種となっているものもある。ソウル地下鉄の駅名だ。

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 韓国の鉄道駅は、韓国語、英語、中国語、日本語の4か国語表記が基本だ。

 ソウルの地下鉄は韓国鉄道公社(コレイル、Korail)が運行している路線とソウル市の交通公社が運行している路線があり、韓国鉄道公社は日本語を漢字とカタカナで表記するが、ソウル市交通公社は韓国語の発音をカタカナで表記している。

写真10:韓国鉄道公社が運行する空港鉄道ソウル駅
写真11:ソウル交通公社が運行する地下鉄4号線ソウル駅

 例えば、首都ソウルの玄関口であるソウル駅の日本語表記は、韓国鉄道公社は「ソウル駅」(写真10)だが、ソウル市交通公社は「ソウルヨク」(写真11)となっている。

 日本人観光客に馴染みが深い東大門市場に隣接する「東大門歴史文化公園」駅は、「トンデムン・ヨッサムンファゴンウォン」(写真12)で、「中央報勲病院」駅は「チュンアンボフンビョンウォン」(写真13)、「政府果川庁舎」駅は「チョンブグァチョンチョンサ」だ。日本語表記よりも、英語か中国語を見て想像するほうがよっぽどわかりやすい。

写真12:ソウル地下鉄4号線東大門歴史文化公園駅
写真13:ソウル地下鉄9号線奉恩寺駅・行先表示

「シンチョン」駅を巡るドタバタ劇

 2015年から16年には、こうした外国語表記が問題を引き起こした。

 当時、ソウル地下鉄2号線には「新村」駅と「新川」駅があった。韓国語と中国語ではそれぞれ表記が異なるものの、英語では「Sinchon」「Sincheon」と似通っていて、日本語ではいずれも「シンチョン」と同じカタカナで表記されていた。

 これに対してソウル在住の外国人が「紛らわしい」とソウル市に提起して、松坡区にある新川駅の駅名が改称されることになった。

 同駅周辺は、登記上の住所では新川だが、行政上の住所では蚕室(チャムシル)となっていたため、松坡区議会は「新蚕室駅」と改称する案を提示したが、地域住民が反発。というのも、当時、蚕室では地上123階のロッテワールドタワー(2017年開業)の完成が間近に迫り、地価が著しく高騰していたのだ。