それぞれの部屋を探索!
301号室「武家」
部屋の扉を開けるとそこはまさに武家屋敷。
瓦屋根が葺かれた門や塀、和風の照明、壁には障子と、まるで撮影のセットのようだ。小上がりに作られたいろりの上には、ガラステーブルが置かれているというチグハグさもおもしろい。ベッドの横には大きな車輪、鏡には城が描かれ、より一層気持ちが昂ぶる。
202号室「ローマ」
この部屋の特徴は、広い浴室で存在感を放つ不思議な形をした前方後円墳型の浴槽だ。
どこをどのように楽しめばいいのか、カップルたちを悩ませてきただろう。部屋の廊下にも神殿のような柱が並び、雰囲気を盛り上げる内装にも注目だ。
101号室「ガラス」
ベッドの横で咲き乱れる造花によって、背徳的な行為も美しく正当化されそうな部屋である。
赤い欄干、小川がせせらぎそうな庭、瓦屋根つきの塀の横には、昭和を感じさせるマッサージチェアも稼働。
部屋の名前にある「ガラス」とは、かつてガラスの浴槽の底に金魚を泳がすという仕掛けがあったことからだとか。
102号室「舟」
ベッドが舟の形をしていることから部屋の名前はそのまま「舟」。
かつては舟の周りに水があり、鯉が泳いでいたとのこと。訪れるカップルたちを、非日常的なエンタメで喜ばせたいという、いささか強引な作りに胸を打たれる。
405号室「和室」
赤い欄干、すだれのある作り込まれた寝室で、平安貴族にでもなったような気分が味わえる部屋。
一方で照明は豪華なシャンデリア、浴室は色欲を高める真っ赤なタイル貼りと、統一感のなさが印象に残る。
406号室「英国」
上品なミントグリーンを基調とした洋室。
扉を開けるとアフタヌーンティーでも出てきそうな気品のある部屋が待つ。その隣に大きく占拠する広い浴室。浴室の周りを囲む通路を通って寝室に向かうという珍しい設計だ。ガラス張りの浴室にはカーテンがついており、ベッドから浴室は直接見えないが、鏡張りの壁には浴室が丸見えである。覗き見要素が楽しめるトリックのような仕掛けにワクワクする。
201号室「中華」
撮影で訪れる人に人気の部屋。
壁紙や照明、家具や装飾など、隅から隅までこだわっており雰囲気抜群。この部屋ももちろん創業当時から変わらないという。多くの人々を楽しませてきた斬新な内装は、今もまったく色あせることなく私たちを楽しませてくれる。
朝に目にしたホテル外観は、夜のそれとは違った魅力が…
清々しい朝。ネオンが消えたホテル富貴はまた違った雰囲気だ。
窓には変わった形の格子がついていること、壁がピンク色だったこと、不自然な場所に非常階段がくっついていること。夜には気づかなかったものが、朝にはいくつも見えてくる。
満足した気持ちで京橋駅へと向かう路地を曲がると、夜は素通りしていたホテルを発見した。