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「勘弁してください、隣にいる保科は愛人じゃないです(笑)!」 撮影は自社スタジオ、構成や演出は社長プラン、商品は低価格…通販会社・夢グループの“ゆるいCM“のナゾ

夢グループ石田社長インタビュー#2

2021/12/02

 “昭和”の空気を感じる「ゆるいCM」でおなじみの通販会社、「夢グループ」。石田重廣社長と、歌手の保科有里さんが、低価格の商品を棒読みの掛け合いで紹介する不思議な魅力にハマった人も多いだろう。夢グループは2023年5月の歌手活動引退を発表した橋幸夫さんや黒沢年雄さん、チェリッシュさんらなど、大御所芸能人が所属する芸能事務所でもある。CMのゆるさの謎や、夢グループの成り立ちについて、石田社長に話を聞いた。(全2回の2回目。前編を読む

イメージモデルに「スターにしきの」を起用

――橋幸夫さんら大物が所属し、スター歌手が勢揃いする「夢コンサート」を主催しているのが御社です。いまでは通販と芸能は経営の柱となっていますが、芸能界との接点はそこからだったんですね。

「夢グループ」の石田重廣社長

 はい。もともと僕は中学時代に『スター誕生!』のオーディションに参加したくらい、根がミーハーなの(笑)。で、シルク商品のイメージモデルに「スターにしきの」を起用したら、ちょうど『24時間テレビ』のマラソンランナーに起用されて、同時にうちの商品も注目され売り上げがアップしました。

 じゃあ今度は松方弘樹さんにモデルを頼もうということになり、結構な大金を投じて宣伝をし、賭けに出ました。大型クルーザーを借りて、松方さんに沖縄の大海原でマグロを一本釣りしてもらい、写真を撮って豪華な新聞広告を作った。ところがここに大きな落とし穴があった。シルクシャツが商品なのに、釣りがメインになってしまい肝心のシルクシャツの広告だと分かってもらえなくて、オーダーの電話が全然鳴らない。青ざめて、体が震えました。すでに広告スケジュールは決まっているので、途中でストップというわけにはいかない。出稿量は多いから、まわりは「松方さんを使って、すごいですね。たくさん売れてるんでしょうね」とほめてくれるんですが、内情は大変。自分が調子に乗っていた、失敗した、とさすがに落ち込みましたね。

兄弟デュオ「狩人」の所属で「有限会社あずさ2号」設立

――もともとは芸能人に依頼するスポンサーの立場だったと思いますが、いつからタレントを抱えるようになったんですか。

 そもそも僕は芸能界については、ずぶの素人。知り合いだった芸能プロの社長がうちに入社して本格的に芸能界に参入するようになりました。彼の紹介で狩人が所属し、「有限会社あずさ2号」という会社を作った。うちは、出来高払いじゃない給料制で、狩人のふたりにはそれぞれ毎月100万円を支払ったんです。

 ところが前年の彼らの仕事をチェックしたら、年に2日間しか仕事していない。「なんでこんなに仕事がないの」って聞いたら、狩人は「私たちここ4、5年ずっとそんなもんです」「どうやって生活してるの?」「大変でした。だから社長から給料が100万もらえるなんて、もうほんとにラッキーです」と言う。ラッキーはいいけど、こっちは何とかして仕事を作らなきゃいけない。