犯罪発生件数が多いロサンゼルス(LA)で警察官(ポリス)として働く日本人女性・YURI(永田有理)さん。ブロードウェイで活躍するダンサーになりたいと思っていた彼女が、過酷な訓練を経てLAで34歳でポリスになるまでを前編では語った。
YURIさんは、ソーシャルメディアを活用してロサンゼルスの犯罪や安全についての情報を日本語で発信している。情報発信をする目的や今後の夢について聞いた。(全2回の2回目。前編を読む)
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SNSで情報発信を始めることに
──InstagramやYouTubeなどで積極的に情報発信されています。なぜ日本語で始めたのですか?
YURI 日系コミュニティーに恩返ししたいという思いがあったからです。
警察官としては、5年目までは一人前ではありません。5年経ったら、日本語を話せる警察官として、日本人を対象にした犯罪の予防や注意喚起に少しでも役立ちたいとずっと思っていました。
LAには多くの日本人が住んでいますが、専業主婦だった時に、虐待されても黙って耐えている日本人妻をたくさん見てきました。英語ができないので警察に行くこともできず、働いていないので子どもと耐えるしかない。そんな人たちの相談に乗ったり、お役に立つことができたりするのではないかと、Instagramのアカウントをつくって情報発信し始めました。
何か伝えたいことがあるというよりは、「私がここにいるよ」「身近な交番だと思って何でも相談してね」ということを発信したかったという思いです。
日本とLAの警察の違い
──Instagramのフォロワー数1.8万、YouTubeの登録者数も1.7万人を超え、YURIさんの発信が大きな影響を持つようになってきています。ご自身ではどのようにご覧になっていますか。
YURI 私のフォロワーは日本の現役警察官がすごく多くて、日本全国すべての都道府県に最低数人ずつフォロワーがいるような状態です。私はコミュニケーションを取るのが好きなので、ポストにいただいたコメントに関しては時間がある限り返信するようにしているのですが、警察のあり方や警察組織の問題点というようなトピックで日本の警察官達と話し合う機会ができて、とても勉強になりますし、お互い警察官として向上し合えたらと思っています。
──日本とLAとではポリスのあり方はどう違うと思われますか?
YURI いちばんの違いは、日本の警察官には「勤務時間」があるところでしょうか。日本では出勤してから制服を着て銃を受け取り、仕事が終わったら全部返却して私服に着替えて帰りますよね。でもロサンゼルスではポリスは24時間ポリスなんです。