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「非番でも自分は常にポリスなので、銃を必ず1丁は持ち歩く」 ロサンゼルスの警官YURIが明かす“アメリカのポリス”にあって“日本の警察官”にないもの

LA警官YURIさんインタビュー#2

2021/12/06
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 警察学校(ポリスアカデミー)では「ポリスはキャリアや仕事ではなく人生だ。そういう生き方をする覚悟のないやつはいますぐやめろ」と毎日言われていました。

 仕事で使う制服も銃もすべて家にあって、個人の管理にまかされています。私は銃を3丁持っていますが、たとえ非番であっても自分は常にポリスだというマインドセットなので、必ず最低1丁は持ち歩いています。

もっと危機管理力を持ってほしい

──日本の警察に足りないものは何だと思われますか?

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YURI アメリカが正しいとは思いませんが、日本の警察官には武器が足りないと思います。日本の警察官のみなさんは必死で頑張っておられますが、日本でも外国人の犯罪が増えているので、それにあった対応に今後変えていく必要はあるのではないでしょうか。

 例えば、ナイフを所持した犯人の逮捕をする際に、ゴム弾などがあれば警察官自身の安全を確保した上で犯人逮捕をすることができます。逆に、現状ままですと、例え相手がナイフを持っていようと警察官が至近距離まで行かなくては逮捕することが難しいですから、警察官の命に関わる問題なのです。ロサンゼルスでは、至近距離にいた女性警察官が、麻薬中毒者の針で刺されエイズ感染するという事件も起こっています。距離を保つというのは非常に大切な事なのです。

 これは警察官に限ったことではありませんが、一般の方に向けても、日本人には危機意識の低い方が多いので、もっと危機管理力を持ってほしいということは、今後も強く発信していきたいです。

「アメリカが正しいとは思いませんが、日本の警察官には武器が足りないと思う」と語るYURIさん。 (写真:YURIさん提供)

人身売買の撲滅と被害者をサポートするNPOを立ち上げる

──発信に力を入れることでどのような効果を期待しておられますか?

YURI いちばんの目的はLAにいる日系コミュニティーのお役にたつこと。そしてもうひとつは、私のライフワークである人身売買根絶活動のネットワークを広げることです。

 人身売買問題は、子どもの頃母から聞いて興味を持つようになったのですが、ポリスになって人身売買の被害者になった子どもたちと実際に接するなかで、この犯罪の根深さを知りました。3~4歳で誘拐され、鎖に繋がれたままポルノビデオを見せ続けられて性奴隷になる子どもたちが、今もどこかで苦しんでいると思うと、夜も眠れません。そういう子どもたちが救われるように今日私は何をやったんだろう、明日は何ができるんだろうと、毎日考えています。

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