最後に皇族が増えたのは、現在15歳である秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さまが誕生された2006年にさかのぼる。今後はその悠仁さまが結婚なさるまで、皇族が増えない可能性が想定されている。
憲法、皇室典範などで規定されているわけではないが、皇族は伝統的に、専門分野や得意な領域を生かしながら、さまざまな公的団体の役職についたり、催しに出席したりして国民とふれあうことで、天皇の公務や活動のサポートを担ってきた。
両陛下の唯一のお子さまであり、国民に知名度が高い愛子さまは、皇族の中でもひときわ重い存在だ。将来天皇になられる悠仁さまを末永く支えていくことが期待されていた長姉の眞子さんが、円満と言い難い形で皇室を出たことで、愛子さまが悠仁さまを将来サポートし、皇室の伝統をいい形でつなげていくという期待は一層高まったといえるだろう。
「女性宮家」と「皇族復帰」
皇室のあり方について議論する政府の有識者会議は今年7月、皇族の数を確保するために、「女性宮家」と、皇統に属する(天皇の子孫である)男性が養子縁組によって皇室に入る「皇族復帰」の2案を両論併記した中間報告を公表した。
女性宮家とは、皇族の女性が結婚しても皇室にとどまるようにする制度のことで、約10年前に眞子さんが成年を迎える前にも、宮内庁長官だった羽毛田信吾氏が民主党政権に女性宮家の検討を“直訴”し、この案が話題になった経緯がある。
結局は制度づくりに至らなかったことで眞子さんや高円宮家次女の千家典子さん(2014年結婚)、三女の守谷絢子さん(2018年結婚)は皇室を出たわけだが、制度に変化がなければ、将来、愛子さまや他の女性皇族方も結婚されると皇族の立場が失われる。結論がどうなるにせよ、そろそろ本格的に議論する時期を迎えているようにも思えるが、相反する内容の中間報告の2案をどう「1案」にするのか、道筋やスケジュールは全く見えていないのが現状だ。
機運が盛り上がらないのは、次世代の天皇になる悠仁さまの存在が大きいといわれてきた。皇統が当面途切れる心配さえなければ、国民の間で意見が分かれているそれ以外の懸案には、手をつけないのが無難、という政治判断である。