東京大学野球部で、学生コーチ兼データアナリストとして活躍し、1月からは福岡ソフトバンクホークスでゼネラルマネジャー(GM)付データ分析担当として働く齋藤周(あまね)さん。データアナリストの業務内容や、“データと感覚”の関係について聞いた。(全2回の2回目。前編を読む)
練習を見て分析をどう活かすかを考える
――データアナリストの具体的な業務内容について教えてください。
齋藤周さん(以下、齋藤) まずは、日々の練習の中で練習の方向性を見つけるための活用。そして、試合中における戦い方やチーム自体のビッグデータをまとめて自分たちの方針として示すこと。あとは、試合において相手をしっかり研究し、自分たちの手札をしっかりと決めていく。この3パターンくらいを柱にやっています。
――アナリストはずっとデータ分析をしているのですか?
齋藤 東大野球部では、分析のために特別な時間を設けるのではなく、基本的には選手と一緒に練習に参加していました。平日はだいたい午前7時半から12時くらいまで練習をして、そのあとは授業を受けたり勉強したり、相手チームや選手の分析を行ったりしていましたね。
ミーティングという形で分析結果を伝えることもありますが、ノックを打つ練習の中で、相手がこういう打球を打ってくるんだったらこう返す対策をする、みたいな分析を伝えることもありました。データ分析とコーチ業とが合わさったようなイメージでしょうか。まずは練習を見て、分析をどう活かすかを選手とコミュニケーションを取りながら考えていくことが多かったように思います。
データによって、盗塁の数がアップ
――ご自分で分析アプリも開発されたとお聞きしました。データを使うことで、パフォーマンスはどれくらい向上したのですか?
齋藤 ボールがどこに届いているかなど、トラックマンで取れるデータを自動で分析できるアプリを作成しました。ピッチャーの情報を自動でPDFファイル化できるようになり、分析がスムーズに行えるようになりました。
作成したソフトは置き土産にしました。ソフトには名前もつけていませんし、まして特許などは考えていないですね。後輩たちに自由に使ってもらい、今後の東大野球部に役立ててもらえたら幸せです。