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「自分で腸を食いちぎり死ぬ犬も」「足の指が6本ある奇形も生まれて…」 摘発された悪質ペット繁殖場の元従業員が明かす“残酷な飼育実態”

「自分で腸を食いちぎり死ぬ犬も」「足の指が6本ある奇形も生まれて…」 摘発された悪質ペット繁殖場の元従業員が明かす“残酷な飼育実態”

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genre : ニュース, 社会

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保健所は「事件」を早く明るみに出すべきだった

――A子さんはどうして退職することになったのでしょう?

A子 誰が見ても綺麗と言わせるぐらい、山にある犬舎をしっかり掃除したことがあったんです。犬舎には蜘蛛の巣が張っていたり埃もすごかったのですが、それも全部取り除いて検査にも万全な状態にしました。「この状態を保つようにしよう」と百瀬に言ったのですが、百瀬は聞いてくれませんでした。それがもとで喧嘩をして、次第に疎まれるようになり、退職することになりました。

「アニマル桃太郎」で飼育されていた犬。小さなケージに入れられている A子さん提供

 そこからは動いてくれそうな動物愛護団体をネットで探したんです。そしたら偶然、最初に電話をかけた獣医さんが桃太郎の飼育環境をよく知り、もともと心配していてくださった人で、真摯に相談にのっていただきました。その後、獣医さんを通して、今年6月に杉本彩さんが主宰する公益財団法人・Evaにつないでもらいました。Evaを通じて長野県警に連絡をとってからは動きが早かったですね。9月には家宅捜索があり、11月には逮捕とあっという間でした。

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 他にも「虐待はまずい」という認識を持っていた従業員はいますが、「もう全て忘れたい」と今回の一件にはかかわらないようにしているようです。とにかく保健所には百瀬にお伺いをたてるのではなく、なんでもっと早く事件を明るみに出してくれなかったのか…という不信感でいっぱいです。アニマル桃太郎の虐待は、おそらく氷山の一角でしょう。コロナ禍のペットブームや、小型犬人気、ペットオークションなど業界全体のビジネスモデルが事件の根幹にあるのだと思います。二度と同じような悲劇を繰り返さないために、今一度、犬や猫がペットショップに並ぶまでの裏にどのような闇があるのか、思いを巡らせて欲しいと思っています。

桃太郎の犬を扱っていたペットショップ ©文藝春秋

 コロナ禍のペットブームの裏で起きた、残虐すぎる虐待事件。業界全体として二度と同じ悲劇を生まないための対策が求められている。

「自分で腸を食いちぎり死ぬ犬も」「足の指が6本ある奇形も生まれて…」 摘発された悪質ペット繁殖場の元従業員が明かす“残酷な飼育実態”

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