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「ルパンじゃないんだから」~のフリをして、~を装って、~になりすまして…不法侵入がやめられない男のヤバい裁判

忍び込みすぎた“ルパンみたいな男”の「ヤバい裁判」 #1

2021/12/18

genre : ニュース, 社会

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被告人「今までもこういう法廷に来ていて初めてじゃないので、悪い事と分かってはいたんですけど…。楽して取れていたというのがあって…」

検察官「こんなラクな事ないだろ、200万円も手に入れて。…あなたにとっては禁断の果実なのか? 一回食べちゃうとダメか? 味が忘れられないか?」

被告人「いや、これを最後にします」

 なかなかの言い回しに対して盗みはやめると改めて約束です。

「~のフリをして」「~を装って」「~になりすまして侵入」被告人のエスカレートする“前科”

 そして、ここで被告人の前科の内容が明かされました。

検察官「前科4犯で、最初が……倉庫作業員のフリをして倉庫内から物を盗んだ倉庫荒らし。その次が千葉のマリンスタジアムに記者のフリをしての侵入。そして、スーパーの従業員を装ってレジ室に入って、この前が白衣来て医者になりすましての病院への侵入…。手口が進んでるんだよ! やめられるのか?」

被告人「はい」

 変装してどこかに侵入するのは今回が初めてじゃなかったんですね。と言うか毎回コスプレしての犯行という人物。不思議な人もいるもんだ。

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検察官「逮捕当初、否認してたのは何故なの?」

被告人「否認と言うか、ちょっと1日待ってくれと」

検察官「正直に生きようよ…。盗まないのも正直に生きることだぞ」

被告人「はい」

検察官「あと何年生きるか分からないけどさ、刑務所を出たり入ったりする人生を送るのか、真面目にコツコツ働いて仕事終わりに赤ちょうちんで一杯飲むのを楽しみにするのか、選ぶのはキミ自身だからね」

 と、究極の2択を迫ったところで検察官の質問は終了。被告人がお酒好きなんて情報は無いのに。調書には書いてあるのかも知れませんけど。

「言いたいことは…」口を開いた裁判官

 最後は裁判官からの質問です。

裁判官「言いたいことは、お兄さんや弁護人の先生、検察官が全部言って下さったんだけどね……、何が心に残りました?」

被告人「兄の『引っ叩いてでも言う事きかせるべきだった』と」

 被告人の兄は、被告人が盗みを繰り返す度に立ち直らせようと頑張っていたみたいで、法廷でもその言葉が刺さっていたようです。

裁判官「検察官から、あと何年生きられるかって話がありましたけど、来年が50歳でしょ。まだまだ結構、30年40年ありますよ。その長い人生でね、捕まらないドロボーで一生やっていこうって考えた事ありますか? 変装してさ、ルパンじゃないけど」