「ぴあ」を見て若者向けコンサートを狙う
取り調べに対して被告人は「2007年6月から自販機を設置する仕事を始めたが、月に5万円くらいしか貰えず金銭に困っていた。『ぴあ』を見て若者向けのコンサートが行われる会場を狙って売上金を盗もうと思った。スーツを着て『ご苦労さん』『お疲れ様』と声を掛ければ怪しまれる事は無かった。他の会場でも7~8回やっていて、多い時は200万円くらい盗んだ」と述べたそうな。
『ぴあ』を見て犯行場所を選ぶってのが時の流れを感じますが、起訴されてないだけで余罪は多いようですね。
法廷には被告人の兄が情状証人として出廷です。
お兄さんは母親と同居しているらしく、母が事件を知ってガッカリしていると証言。盗みを繰り返している事に兄として責任を感じているようで、引っ叩いてでも言う事きかせるべきだったと悔やんでいました。そして、地道に働いていれば贅沢は出来なくとも当たり前の暮らしが待っているのでドロボーをしない人生を送って欲しいと涙声で訴えていました。
「何故やったんですか?」
そして、被告人質問。まずは弁護人から。
弁護人「何故やったんですか?」
被告人「自分自身の意思の弱さ。生活費に困っていた事もありまして」
弁護人「出所した後、仕事は毎日やってたんですか?」
被告人「仕事がある時に自動販売機を置くというのをやってました」
仕事は毎日あった訳じゃなく、日雇いの派遣のバイトみたいな感じだったのかも知れませんね。
弁護人「今後どう生活していくつもりですか?」
被告人「見栄を張らず、一生懸命働き、カッコつけずに生きていきたいと思います」
弁護人「もう盗みはやりませんね?」
被告人「やりません」
と再犯しないと約束して弁護人からの質問は終了です。個人的には、同じ盗みをやるにしても、警備員に扮して侵入するという大胆で手の込んだ手口を選択した理由とかを訊いて欲しかったんですけどね。あまり聞かないタイプの事件なので。
「あなたの心の声を聴かせてくれ」高圧的な“オールバック検察官”
続いて検察官からの質問。
検察官「盗みはクセになるのかい? あなたの心の中を聴かせてくれ」
髪型はオールバックで優しく低い声ながら高圧的な検察官。昭和の検事ってこうだったのかなぁと妄想が広がる、当時としても他の法廷では見ないキャラクターです。