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「ルパンじゃないんだから」~のフリをして、~を装って、~になりすまして…不法侵入がやめられない男のヤバい裁判

忍び込みすぎた“ルパンみたいな男”の「ヤバい裁判」 #1

2021/12/18

genre : ニュース, 社会

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 確かに、被告人はリアルなルパン三世そのものですよね。このコスプレしまくってる感じは。この問いに対して

©iStock.com

被告人「考えてみました……次の世界があったとしたら、次…」

裁判官「いや、人は一回しか生きられないんだよね」

 と被告人の語りを冷静なツッコミで打ち切る裁判官。法廷で来世の話をされてもね。

きっかけは「報道の腕章をつけて両国国技館に入ったことがありまして…」

裁判官「前科の話はさっき出てましたけど、前歴もありますよね。これは何ですか?」

被告人「あの…若貴ブームの頃に、報道の腕章を付けて両国国技館に入ったというのがありまして…」

 起訴はされなかったけど1990年くらいに相撲の会場にも潜り込んでたみたいです。筋金入りのコスプレ犯。こうなると盗みが目的なのか、バレずに侵入する事が目的なのか分からなくなってきますね。

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被告人の“きっかけ”は両国国技館に忍び込んだことだった ©iStock.com

裁判官「あの~、誰にも気兼せず、ちょっとの楽しみを持ってね。それが明日への活力にもなるというね、いい生活があるんですよ、人間として。私の法廷という狭い空間での話になりますけどね、ドロボーやってきた人で幸せそうな人を見た事ないよね。

 別にあなたをいじめる訳じゃないんですけど、前刑の記録を見ると被害額が33万、150万、500万円ってね、味をしめちゃってるんですよ。こんな大金がポンッと入ったらこの先働けるのかなと。まだ長いんですから。私みたいに大声出してる間は元気があるんだよ……。徹底的に考えなさいね」

 と人生の先輩からのアドバイスです。と言うか、他の人が「言いたい事は全部言って下さった」はずなのに随分長々と喋るじゃないかという気もしますけどね。

 この後、検察官が懲役3年を求刑して閉廷。判決の日は他の裁判を傍聴してたので結果は分かりませんが、前科を考慮すると実刑は間違いないでしょうね。法廷での誓い通り、これで最後になってくれればなぁと。

◆◆◆

「人生の先輩」として語る裁判官の言葉で幕を閉じた裁判。「もうやらない」と誓った被告人だったが、数年後のある日、阿曽山大噴火氏は法廷で“再会”することになるのだった。後編に続く。

「ルパンじゃないんだから」~のフリをして、~を装って、~になりすまして…不法侵入がやめられない男のヤバい裁判

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