「ママ向け美容」がないことに気がついた
――ブレイクのきっかけは。
神崎 自分が美容を伝えていきたいと思ったとき、「ママ向け美容」というジャンルが手つかずだったことに気がついたんです。
――子育て中だった神崎さんご自身の体験が仕事に結びついたんですね。
神崎 はじめて母親になって、今までと同じようには生きていけないし、できないことが増えていくんだと感じていた頃で。
――「できないこと」というのは具体的にはどんなことですか。
神崎 自分のための時間が取れなくなるんですよね。化粧する時間もないし、自分の行きたいときにトイレに行けない、温かいご飯が食べられない……ひとつひとつはたいしたことじゃなくても、それがずっと続くとしんどくなっていきます。
――子どもが小さいと自分のことが全部後回しになりますよね。
神崎 その後、離婚してシングルマザーになったことでさらに時間がなくなって。ただ母子家庭に限らず、今は夫婦共働きが多いし、おじいちゃんおばあちゃんに頼れないお母さんも多い。
そんな忙しい毎日を送っている人でもできるメイクや美容法があるし、それは絶対に必要とされているはずだ、という確信がありました。
――でも先ほどのお話にもあったように「美容家」を目指すのは茨の道で。よくその険しい道をいこうと思いましたね。
神崎 美容家って資格が必要なわけじゃないので、名乗ったもの勝ちですよね。だからこそ頑張ればかたちになるかもしれない……というか、かたちにしなきゃいけない、そんな気持ちでした。
――当時は切羽詰まった状況だったんですね。
神崎 パートで稼ぎながら2人の子どもを育てていました。手に職も何もなくて、本当に必死だったんです。