――神崎さんは「美」第一じゃないんですね。
神崎 自分が気分良くいられるなら美容でもなんでも使って「美」を追求すればいいし、それが心の負担になるなら無理してまでやることじゃないですよね。
――「モテメイク」という言葉があるように、美容は他人のためと思われがちですが、神崎さんはあくまで自分のためにやっている?
神崎 髪型がうまくいくと、気持ちが上がりませんか。メイクや美容の楽しさは即効性があること。口紅ひと塗りで自分を元気にできる「武器」みたいだなと、私は思ってます。
美容は、読者になかなか認められない「マニア」の世界
――メイクアップアーティストや美容師ではなく「美容家」という道を選んだのはなぜでしょう。
神崎 私自身が美容で救われたという思いが強かったし、やっぱり好きだったんですよね。
ただ私がデビューした頃は、美容家と呼ばれる方は佐伯チズさんや小林照子さんといった有名な方が数名で、本当に少なかったんです。
――認められるのも大変な世界だったのでしょうか。
神崎 美容にはすごく熱心なファンがいます。美容だけに特化した雑誌もありますが、それもある意味マニアックな世界ですよね。だからぽっと出の私なんかは、読者の方や業界の人からすると「一体何ができるの?」という感じで。
でも「コノヤロー」と思うことがあると逆に頑張れます。私は褒められて伸びるタイプじゃないんです(笑)。
――悔しい思いがバネになったんですね。「コノヤロー」エピソード、ぜひ聞かせてください。
神崎 美容家になりたての頃、いろんな出版社さんに挨拶に行ったんです。でも顔も見てもらえないんですよね。まあ当たり前だよな、と思いながらも、「いつか見てろよ〜」と、心の中でメラメラしていました(笑)。