小泉進次郎から福田達夫へ
──福田さんの評価が高いことは十分知った上で、ここを補正すれば福田達夫という議員はもっと成長するんじゃないか、評価されるんじゃないかというところはありますか。
小泉 早口だね(笑)。これは本人も自覚されてると思うし、今までいっぱいいろんな人から言われてるはずだけど、もったいない。あと難しい(笑)。言葉とかもね。
僕とはそこが違う部分。僕は、いかに枝葉を切るかということを常に考えてるんです。極端なぐらい、ときにはシンプルに言うしかない。
福田さんの場合は、そうじゃないよね。福田さんはあれだけの知的なレベルの高さで、常に何か一つの事象を全体の中で最適になるかどうかということを考え、その上で判断する。マクロの発想を持ってると思う。それはすごく大事で、僕に欠けている部分を補ってくれた。ありがたい部分はいっぱいあって、いい意味で補完してくれました。
僕がずっと思うのは、達夫さんは今でも三菱商事の看板を背負っていて、その良さを政治の中で発揮することが多い気がする。むしろ、アイデンティティ、軸足はそっちなんじゃないかなって思うくらい。話を聞いてると、三菱商事愛が強いよ(笑)。
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福田達夫から小泉進次郎へ
──小泉さんと対談を重ね、彼の良さはずいぶん語っていただいたんですけども、ここは気を付けたほうがいいというところあります?
福田 ずばり二つ。一つはやっぱり下積みの経験がないんですよ。これはいい結果につながることもあると思います。その可能性が高いとは思います。ただ、悪い意味にも出る可能性がある。人の苦労はやっぱりわからなきゃいけない。下積みの苦労って、たぶん彼はこの二年間やってきたことが下積みだと思っているかもしれないけど、それはエリートの下積み。本当の雑巾がけは知ってたほうがいいだろうなあ。
要するに、生きることの苦しさをわからないと、これからつらいことがいっぱいあるかなとも思う。安倍首相に対する菅官房長官のような方がいれば、そこは補えるかもしれない。逆にわからないほうが、常にピカピカでいたほうがいいのかな、という気もするんですけれども、彼を本気で支える陰の人が出てくればいいなあ。
もう一つは、「俺には友だちがいない。親父にもいなかった」って言う。でも、お父様には仲間がいっぱいいました。小泉純一郎元首相は、仲間の中で温かく育った人です。森喜朗総理、小泉総理、うちの親父は「三兄弟」なんです。考えていることもやっていることも全然違うのに、でも絶対お互いを守るんですね。
小泉官邸は実は個人じゃなくて、がっちりと組織力で回していました。派閥は森総理が押さえ、そこから参院自民党を押さえていた青木幹雄先生と、武部勤幹事長が党を回し、福田康夫が官僚機構を回して、裏は飯島勲さんがやって、政策は竹中平蔵さんがつくりという、この完璧な布陣を組んで、すごいチームでやっていた。
あとプラス1は早く結婚しろと(笑)。早く結婚して。