札幌の発展は日本の近代化の軌跡そのものである
札幌駅は開業以来何度も姿を変えて巨大化してきたが、現在の高架の札幌駅は1988年に完成したものだ。古くからの中心市街地だった南側はもとより、北側の市街地化が進むと線路が南北を分断しているのが問題になる。そこで高架化することで南北の往来をより便利にしようとしたのだろう。
次いで2003年にはJRタワーも完成した。さらに、札幌駅は未来にもビッグイベントを予定している。2030年度末の北海道新幹線札幌延伸だ。札幌駅の北口の広場から駅舎を望むと、工事中の駅舎の傍らに北海道新幹線延伸を待望する看板が掲げられている。いまの北海道新幹線は新函館北斗といういささか中途半端なところで留まっているが、札幌までやってきてからが本領発揮ということになるのだろう。
札幌駅と札幌の町の歴史をたどると、まるで札幌の発展は日本の近代化の軌跡そのものであるといっていいことがわかる。首都・東京とて歴史こそ古いが、近代化によって今の町の姿を得た。札幌は、近代以降の日本がこうした都市を造りたいと思ってそれをかなえようとし続けてきた都市である。そんな町を、オリンピックの大トリ、マラソンランナーが駆け巡るというのは悪くないのかもしれない。ちなみに、札幌は2030年冬季五輪の招致を目指している。
東京から半日かけてやってきた札幌駅と札幌の町。ホームの薄暗さにはいくらか驚かされてしまったが、駅とその周辺を歩けば札幌と北海道開拓の歴史が見える。近代日本の歩みが見える。ただ、ひとつだけ訴えておきたいのは、東京と比べて格別に札幌が涼しいわけではないということだ。
温度計を見れば気温は軽く30℃オーバー。まあ、東京ほど日差しはきつくないし湿度も低い。それでも、札幌駅からすすきのまで30分も歩いたら汗だくだ。やっぱり地上ではなく地下街を歩けばよかったと、心の底から思うのである。
写真=鼠入昌史
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