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現場は“S級のドライバー”ばっかり

平畠 たぶん、出来る人って1回目から出来るんですよね。もちろん、中には経験を積んで出来るようになることもあると思いますよ。でも、最初からある程度は出来ている。そこからどんどん経験を積んでいくから、さらに幅が広がって引き出しの数が増えていくのかな、と。

――出来る人は、元々備わっているものが違うという感覚ですか?

平畠 たとえば、僕が車の免許を持ってるとしますよね。ちゃんと前を向いて走れるし、カーブもきちんと曲がれます。でも、バラエティーの現場に行くと、周りはS級のドライバーばっかりなんですよ。それはもう、どえらいスピードで走ってるんです。やっぱり1位になりたくて、必死に走ってる人たちだから。そんな中で、「俺、走れるから別にええやろ。1位とかならんでもええし」って言っても、それは周りにとっては迷惑なんですよ。

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 でも、最初はそんなこと分からないから、「走れますよ、僕」って。「そんなん、免許持ってますし、できますよ」って言っちゃうんです。これは、そこのフィールドに立たせてもらったから分かったことですけどね。

 

「努力の仕方」が分からなかった

――そうした状況では、「俺も周りを追い抜いてやろう」と感じる人も中にはいると思うのですが、平畠さんにとっては「迷惑をかけている」という意識の方が強かったですか?

平畠 うーん……。もしこれがサッカーの仕事なら、単純に努力の仕方が分かるんですよ。その努力が実を結ぶかどうかは別として、こういうことをやっておこうとか、なんとなくこうちゃうかって方向性が分かるんです。でも、お笑いの仕事に関しては、僕はそれを見つけられなかったんです。

 単純に才能がなかったのかもしれないし、自分の実力じゃないところに呼ばれていたのかもしれない。でも、もっと突き詰めて、探求心を持って上に上がっていく人もたくさんいますよね。だから、本当はそこであがかなきゃあかんかったのかもしれないですけど……。

 

――当時は辛いなと感じることもありましたか?

平畠 僕は基本、嫌な仕事はしないんです。それはこの世界に入る前からずっとそうで、お金のために働いたことがあんまないんですね。だから、1個1個の仕事がしんどいとかはあっても、基本は楽しくやった中での辛かった部分の話ですし。それに、今サッカーの仕事ができているのも、元々芸人というカテゴリーにいたからこそ繋がった部分があるのかなと思っています。

――そのサッカーのお仕事は、どのようなきっかけで始められたんでしょうか。高校のときはサッカー部のキャプテンを務められて、インターハイにも出場されていますよね。