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「深夜2時過ぎ、突然インターホンが鳴って…」事故物件住みます芸人が語る“説明不能のナゾ現象”

「深夜2時過ぎ、突然インターホンが鳴って…」事故物件住みます芸人が語る“説明不能のナゾ現象”

2021/12/28

genre : エンタメ, 社会,

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次は“遺骨のお父さん”と一緒に……

 10月、今度は遺骨のお父さんを連れて再び青森へ行くことにした。

 その前に名古屋でラジオ出演があったので遺骨のお父さんにスタジオ見学してもらい、そのあとキャバレーにも連れて行った。

スタジオ見学にも来てもらった

 羽田空港では保安検査場で機械に通さずに手動で検査をしてもらう。機内ではCAさんが気を利かせてくれて、空いてる席に座らせてもらいシートベルトで固定した。

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 三沢空港でハルさんと合流する。父娘が再会するのは約半年ぶりだ。

 僕らは恐山ではなく、八戸にいるイタコさんの家に向かった。イタコは普段自宅にいる。恐山にイタコが来るのは主に大祭の日だけであり、現在イタコとして活動している人は僕が聞いた限りでは3人しかいない。

「父と呼んでくれてありがとう」

 八戸のイタコさんはおそらく現役最高齢だ。盲目の上、聴覚も弱くなっている。

 遺骨のお父さんの名前と住所と命日を、ハルさんがイタコさんに説明するのだが、何度も何度も聞き直し、懸命に覚えようとされていた。

 しかし口寄せが始まってからはスラスラと言葉が止まらなかった。

父と呼んでくれてありがとう

父と呼んでもらえた喜び

役人どもに認めてもらって

よいお山のお社に成仏できる

父としての想いは届けれなかった

だからこれからは守っているから

よいところに成仏できなくて

今日の供養のありがたさ

役人どもに見届けてもらって

あんたたちの幸せ

カラスとなって見守るから

 ちょうどその瞬間、カラスが鳴いた。ハルさんは黙ってそれを聞いていた。

 次の日、ハルさんは父の遺骨を背負って帰っていった。

 目に見える死と見えない死。見える遺骨と見えない口寄せ。

 その人にとってのホントは自分にはわからない。自分にとってのホントも他人にはわからない。

 でも、なんだかいいものを見させてもらえたような気がした。

「深夜2時過ぎ、突然インターホンが鳴って…」事故物件住みます芸人が語る“説明不能のナゾ現象”

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