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「私はジュリーを残します。自分の子だから」 ジャニーズ事務所会議室内で起きた、メリーさんの“5時間説教”と“公開粛清”――2021年BEST5

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 応接室には1台の電話機と内線電話表があった。筆者はそれを見て、さっそく驚かされた。

〈メリー様〉

 内線表の1番上にはこう書かれていたのだ。これから相まみえるのはこの絶対的序列のトップに君臨する“女帝”なのだと改めて認識した。

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 われわれ取材班がメリー氏に聞きたかったこととは一体何か。それは「事務所の後継者問題について、メリー氏はどう考えているのか」。本質的にこの1問に尽きる。

ジャニーズ事務所の2大派閥「ジュリー派」と「飯島派」

 当時、ジャニーズ事務所の中では「ジュリー派」と「飯島派」という2大派閥が角逐し、その派閥トップのどちらかがジャニー社長の後継者に選ばれるのだろうという見立てがマスコミ業界の常識だった。その2大派閥の領袖は、メリー氏の長女である藤島ジュリー景子氏と、実力派マネジャーの飯島三智氏であった。ジュリー氏は嵐やTOKIO、関ジャニ∞といった主流派を担当。一方の飯島氏はSMAP。当初は“ジャニーズの落ちこぼれ”と言われた彼らの名声を高からしめ、国民的スターに育てた赫々たる功績があった。

2016年に解散したSMAP ©文藝春秋

 

「次の社長は飯島しかいない」

 彼女の手腕を買っていたジャニー氏が周囲にそう語っていたという証言もあるように、飯島氏の業界での存在感は大きくなる一方だった。特にテレビ局関係者にとっては下にも置かない存在となっていた。各局は両派閥のタレントをキャスティングするため、別々のプロデューサーがそれぞれの派閥に対応していた。嵐とSMAPが共演する機会がほとんど無いことも派閥問題を映し出していると言われていた。

 インタビューは20畳はあろうかという大きな会議室で行われた。向かって右側に白波瀬傑専務と男性スタッフ、矢田氏ら複数の顧問弁護士が同席。我々は左側に座った。

 10分後に現れたメリー氏は会議室後方から入って来ると、弁護士の後ろを通り、悠揚迫らぬ態度で無言のまま“お誕生日席”に座った。キラキラと輝く宝石がちりばめられたトレードマークの眼鏡を掛けている。