誘導員への「逆ギレ」はドライバーに限らない
交通誘導員が案内を行うのはドライバーに対してだけではない。歩行者や自転車など、必要に応じて動線を確保する必要がある。
その日、Cさんが担当した現場は水道管工事であり、片側1車線ずつの道路の一方を塞ぐ形で工事が行われた。よくある片側交互通行のパターンであり、工事箇所の両端に誘導員が1人ずつ配置される形だったが、Cさんが担当する側には1点イレギュラーなポイントがあった。
工事区間の端に、細い道が垂直に合流している。車はほとんど通らないが、歩行者や自転車は頻繁に通行している。厄介なのが、車道に向かって下り坂になっているため、自転車のスピードが乗りやすい点だった。
「合流する道は対向車線から死角になっていたので、注意して見ていました。自転車に乗った高齢の男性がふらつきながら下ってくるのが見えて、これは危ないと、念のため対向車を止めてもらうよう無線で指示を出したんです。
こちら側でも一旦、自転車に止まってもらおうとしたんですが、無視したのかブレーキが壊れていたのか、勢いのまま突っ込んできて、こちらもとっさに避けてしまいました。
そのまま、思い切り反対車線までふくらみながら左に曲がっていきました。そこに突然、対向車が結構なスピードで通りかかって。スレスレの距離で行き違い、自転車の方は驚いて転倒してしまいました。
反対側の誘導員は『止めたけど無視された。反対車線に車いなかったからだと思う』と言っていましたが……。
車はそのままいなくなりましたが、幸い自転車の方に怪我はないようでした。しかし、起き上がるのを手伝ったところに、『ちゃんと仕事しろ!』と怒鳴りつけられ、やりきれない感じでした」
自分の判断で進んだにもかかわらず、誘導員に「逆ギレ」するのはドライバーに限らないのである。