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2022年の論点

2022/01/25

source : ノンフィクション出版

genre : ビジネス, 国際, 企業, テクノロジー

「明日は結婚記念日です。奥様お気に入りのブランドのジュエリーを注文しましょうか?」といった具合に、AIが最適な選択肢を提示してくれる。SF小説ではよくある光景だが、実現はまだまだ先になりそうだ。

 だが、その過渡期を埋めるようなサービスはすでに登場しつつある。中国通信機器・端末大手ファーウェイは2025年に実現している技術を列挙した報告書「グローバル・インダストリー・ヴィジョン」を発表している。予測された技術の一つが「ゼロサーチ」だ。各種センサーを備えた端末によって人々の需要を把握する。人間が情報を探すのではなく、情報が人間を探してくれるのだという。雲をつかむような話だが、デジタル先進国・中国では実際に、人間が情報を探す時代を終わらせようとするサービスが続々と登場している。

拼多多の利用者数がアリババグループを超えた

 日本人にとって、もっともなじみ深いのが動画アプリのティックトックだ。若者がダンス動画を公開するためのアプリというイメージが強いが、実はちょっとしたジョークやかわいいペット、農村の光景、料理レシピなどさまざまなジャンルの動画がそろっている。その特長は利用者が見る動画を選ぶのではなく、コンピューターが利用者の好みを読み取り、オススメを配信する点にある。その精度はきわめて高い。好みの動画が無限に流れてくるのだから、利用者はいくらでも時間が潰せてしまう。調査会社アップアニーの報告書によると、米国ではユーザーは平均で月に24時間を視聴しており、ユーチューブの22時間を上回っている。

 買い物でもゼロサーチは広がっている。拼多多(ピンドゥオドゥオ)は2015年創業の新興EC企業だが、わずか3年で米ナスダック市場に上場する破竹の快進撃を見せた。2020年の利用者数は7億8840万人に達し、あのアリババグループを超えた。その秘密は検索に頼らない集客にある。ほとんどの客は友人の口コミか、コンピューターのオススメに導かれて商品を購入する仕組みだ。

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