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2022年の論点

2022/01/25

source : ノンフィクション出版

genre : ビジネス, 国際, 企業, テクノロジー

データを自由に活用し、先進的な試みがをいち早く実現

 動画配信とネットショッピングを融合させたライブコマースもこの流れに位置する。一見すると、携帯電話で見るテレビショッピングのようだが、大手配信者のオススメ商品ならば、最安値と一定以上の品質が保証されているため、検索して探し回らなくても良い買い物ができる。

 ことほどさように、デジタル先進国・中国ではゼロサーチに挑むサービスが次々と登場している。先進国ではデータの取り扱いに対するハードルが高い。中国企業は自由にデータを活用できるため、先進的な試みがいち早く実現してきた。

©iStock.com

 もっとも、すべてがバラ色とは行かない。過剰なデータ利用による、負の側面も見え始めている。代表的なものが「大数拠殺熟」、日本語訳すると「ビッグデータによる常連客殺し」である。前述のとおり、中国IT企業は豊富なデータによって消費者を深く理解している。そのため、一人一人の消費者に異なる価格を提示するパーソナルプライスが実装されている。購入するかどうか悩んでいる新規の客には低価格で、商品の良さを知っていてちょっと値段が高くても買う常連客には高い値段を提示するといった手法がひそかに流行しているという。

負の側面をどう防ぐか

 この状況に、中国政府はデータの乱用を取り締まる動きを見せ始めた。2021年8月には「インターネット情報サービスアルゴリズム・レコメンド管理規定」(パブリックコメント稿)を発表したが、消費者にとって不利になるようなデータ活用や、意見の誘導などを禁止すること、レコメンドされない選択肢をユーザーに与える義務も盛り込まれた。

 情報量が増えすぎて、検索ではなかなか正解にたどりつけない社会。この点は中国も日本も変わりはなく、ゼロサーチの方向に進まざるを得ない。しかし、その負の側面をどう防ぐかも同時に問われている。

◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2022年の論点100』に掲載されています。

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