昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「勝てなかった時は選手たちがダグアウトで委縮していたんだと思う」野村克也監督時代の日本シリーズで生まれた“絶対大丈夫”の気持ち《高津臣吾監督インタビュー》

高津監督インタビュー #1

2022/01/01

 野球の魅力が詰まった日本シリーズの激闘を制し、日本一に輝いた東京ヤクルトスワローズの高津臣吾監督。

 振り返ってみると、2シーズン前の2019年、スワローズは59勝82敗の最下位に低迷していた。そのシーズンオフに、高津監督は二軍監督から火中の栗を拾う形で一軍監督へ就任。コロナ禍で短縮された1年目の2020年も最下位に終わってしまったが、今季、チームは中盤から調子を上げ、2015年以来のセ・リーグ優勝を果たした。

 わずか2年での下剋上である。

 その後に行われたクライマックスシリーズでも巨人に連勝。そして接戦続きとなったオリックス・バファローズとの日本シリーズを4勝2敗で制したわけだが、最下位からの逆襲の背景には、どのようなチーム改革が行われていたのか。高津監督に聞いた。(全3回の1回目。#2#3を読む)

©杉山拓也/文藝春秋

◆◆◆

「勝つことの喜び、高揚感がチームをより強くする」

「2019年には16連敗を喫したりして、変な言い方ですけど、ぶっちぎりで最下位になってしまったわけです。そのタイミングで監督のお話をいただいたわけですが、まず、何かを変えなきゃいけないと思いますよね。僕が思っていたのは、手始めにここから変えていこうとか、そうした小手先のことではなくて、すべてを変えなければいけないということ。技術、メンタル、環境、もう本当にすべて。

 そして迎えた1年目、シーズンの序盤に『あ、これは行けるかもしれない』と思ったことはありました。でも、そんなに甘いものじゃなかった。すべてを変えるというのは簡単なことじゃなくて、2020年はコロナ禍で120試合に短縮されたシーズンでしたが、変化を起こせたのは、1つか、2つだけだったと思います。振り返ってみると、巨人をはじめ上位の球団には、すべての面においてまったく歯が立たなかった、というのが正直な感想でした」

 では、2年目になって、様々な変化をもたらせたのだろうか? それもまた、簡単なことではなかったという。

「優勝したので、大きな変化が生まれたかと想像されるかもしれませんが、目標としていたテーマが10個あったとするなら、出来たことは、今年もまた1つか、2つなんです。それでも、大きく変わったことがありました。勝つことによる高揚感を、選手たちが味わうようになった。

 僕は今年のスワローズを高校野球のチームによくたとえるんですが、弱いチームが1回戦から勝ち上がっていって、あれよあれよという間に準決勝、決勝にまで行ってしまった。あの感じなんです。勝つことの喜び、高揚感がチームをより強くする。夏場に入って、俺たち上手くなってるよね、これは行けるかもしれないよね、ジャイアンツにも勝てるんじゃないのという雰囲気が加速していったのが今シーズンでした」