通算18回目になる『マッドマックス 怒りのデス・ロード 』の劇場鑑賞は、「ブラック&クロームエディション」だった。

 改めて説明するまでもないが、これは2015年に公開された、ジョージ・ミラー監督による「マッドマックス」シリーズ最新作の全編モノクロ・バージョンである。

©2015 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

いや、カラー版を超えたと言ってもいい

「一番いいバージョン」と監督のジョージ・ミラー自らが言うように、期待を裏切ることのない傑作である。カラー版の良さを何も損なっていない。いや、カラー版を超えたと言ってもいい。ディテールが際立ち、特にフュリオサをはじめとする女性キャラクターは、その本質的な魅力をより明らかにしてくれた。

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「ブラック&クロームエディション」という言葉が表すように、画面は単調なモノクロではなく、クロム合金の銀を思わせる鈍い輝きと、黒の深みをたたえている。

 しかし、カラー版からのマイナスではなく、スクリーンからは確かに、黒や銀以外の色彩や、匂いも感じられたのだ。

©2015 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

 この映画を何度も繰り返し観ているせいで、イメージを脳内で補完しているからなのだろうか。

 それはあながち間違いとは言えないだろう。

 だが、その一方で、それはこのモノクロ版が、映画の本質を見事に捉えているからだ、とも言える。