映画に新しい水をもたらすものは何か?
それを可能にしてくれるのが、例えば、フレームが存在しないVRだろう。それは私たちの認識や、エンタテインメントの定義や、ストーリーテリング、商売のシステムなどを書き換える可能性があるだろう。
ゾエトロープやキネトスコープの「のぞき窓」からスクリーンへ、そしてVRという枠組み(フレーム)のない新しい個人の劇場へ、映画とゲームは場所を変えていく。
それは、覗くのでも、見るのでもなく、体験するものになる。
だから、それは「映像」とか「映画」「ゲーム」という言葉では呼べない新しいエンタテインメントに違いない。もしかしたら我々は、122年間走り続けたリュミエール兄弟が敷いた路線に出口を見出し、終着駅に到着できるのかも知れないのだ。少なくともその新しい歴史の入り口に我々は立っている。
本質的にはすでに限界(マックス)を迎えた映画に、新しい水をもたらすのは誰か?
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、水や資源を独占することで旧世界の秩序を維持しようとするイモータン・ジョーと、そこから女性たちを連れて脱出しようとするヒロイン、フュリオサの対立が描かれる。
この作品では、フュリオサが新たな歴史を書く“The First History Man”となることが暗示されて終わる。
監督のジョージ・ミラーはこの作品で、映画の歴史を凝縮し、その到達点までを描き、その次の歴史の始まりまでを示唆した。
我々は、そのメッセージを受け止め、“The First History Man”として、新たな映像の世紀を書き始めなければならない。
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
【初回限定生産】<ブラック&クローム>エディション Blu-ray(2枚組)3,990 円+税
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
リュミエール!
絶賛公開中 © 2017 - Sorties d’usine productions - Institut Lumière, Lyon
配給:ギャガ