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自己判断の「目薬」が逆効果になることも…「ドライアイ」への正しい対処法を眼科医に聞いてみた

 ある朝、急に目を開けられなくなった。物理的に開けることはできるのだが、開けたままにしていられないのだ。……痛くて!

 余りにも痛みが強かったので、「なにか重篤な病気になったに違いない」と思った。ドライアイだという考えは、この時は浮かばなかった。なぜかというと、以前にも何度かドライアイは経験していたが、こんなに痛かったことはなかったから。

※写真はイメージです ©iStock.com

 しかしかかりつけの眼科に駆け込むと、「ドライアイですね」とあっさり。「こんな痛いのに嘘でしょう?」と最初は信じられなかったが、ドライアイを悪化させると大変な思いをすることを知った。この日を境に、私は長く目を開けていることができなくなり、ひと月も仕事を休まざるを得ず、3か月が経過した今も、目を使うとすぐに疲れるようになった。コンタクトは、まだ入れられない。

目の表面を守っているのは涙だけ

 ドライアイとは、ひとことで言うと、涙の病気であるらしい。何らかの理由で涙の量が減ったり、安定して目の上にキープされなくなることで、目に不快を感じたり、見えづらくなったりするのがドライアイだという。

 慶應義塾大学病院ドライアイ外来の創設メンバーで、ドライアイの研究と治療に32年携わっている小川葉子先生によると、「ドライアイとは、涙液・涙腺・マイボーム腺(※1)・角膜・結膜の表面の慢性疾患で、目の不快感と視機能異常を伴うもの」だとか。

※1 まぶたの縁にある脂の分泌腺のこと。

涙のイメージ

 一過性の「状態」ではなく「病気(慢性疾患)」だということや、涙の供給力が変化する可能性があるということに、私はとても驚いた。そして改めて考えて、目って恐ろしく無防備な器官だと思った。なんせ、開けている時は何ものからも保護されておらず、頼みの綱は涙だけ。皮膚で覆われている体全体や、少なくとも内部に入り込んでいる鼻や耳と比べても、厳しい環境下にさらされていると言わざるを得ない。

 一説によると、太陽光を直接、多く取り込むためだと言うけれど、無防備にもほどがある。私の体感で言うならば、ドライアイ下の目は、皮膚を剥がしたお肌の状態に似ている。それくらい、ヒリヒリとしていつでも痛い。