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「6分で着丼」とブツブツ言う客、超大盛りへの反応にニヤニヤする店員…ラーメン屋で遭遇した「ヤバい人たち」

2022/01/13
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半グレたちが大暴れ…老舗ラーメン店での恐怖体験

 味さえ良ければマニアはどんな場所でもやってくるため、「ラーメン店は立地を選ばない」とも言われる。とはいえ、やはり駅前や繁華街に店を開いたほうが集客は安定するはずだ。しかし、繁華街ならではの「招かれざる客」もいるので、そこが難しいところ。会社員の段田顕正さん(仮名)は、ラーメン屋で遭遇した恐怖体験を語ってくれた。

「これは誰に言っても、あまり信じてもらえない話なんですけど……。数年前に、歌舞伎町の奥まった場所で深夜まで営業してる老舗のラーメン屋にいったんです。酔っ払ったサラリーマンや水商売っぽい方など、多くのお客さんで賑わってました。

 そのL字型のカウンターの端で私がラーメンを食べていると、いきなり店内に怒鳴り声が響き渡ったんです。隣に座っていた5人のグループの中心にいた30代と思われる男が、カウンター越しに店の人に向かって『なめてんのか、てめえ!』などと大声を上げている。

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 私は酔っぱらいが絡んでいるのかなと思って気にしないでラーメンを食べ続けていると、そのうち他の男たちも一斉に立ち上がり、怒声とともに器をカウンターのなかに投げつけたり、椅子を振り回して大暴れし始めたんです。

 暴れていたのは時間にして3~4分でしょうか。それでも店内はあっという間にめちゃくちゃになり、大半の客は悲鳴を上げて店外に逃げ出しました。私は店の端に丼を持って避難して、立ったままラーメンを食べながらその様子を見ていたのですが、暴れている男たちは全員いかつくてガラが悪く、いわゆる半グレのように見えました。

 結局、私は立ったままラーメンを完食したのですが、彼らが引き上げた後、モノが散乱する店内にいるのは店の人と私だけ。ほかの客は金も払わず逃げてしまったようです。私はちゃんと料金を払おうとしたんですが、店主からは『いいえ、お代はけっこうです』と申し訳なさそうに頭を下げられました。後にも先にも、ラーメン店でこのとき以上に危ない状況に遭遇したことはありませんね」

 ラーメン店は新規開店後、1年以内に廃業するケースも多いという。マニアな人でもヤバい人でも、とにかくお客さまを大事にしていかなくてはいけないというのが店側の本音だ。それだけに、ふらりとラーメンを食べに行って、このような不思議なお客さんと遭遇する確率は他の飲食店よりも高いのかもしれない。

取材・執筆=素鞠 清志郎/清談社

「6分で着丼」とブツブツ言う客、超大盛りへの反応にニヤニヤする店員…ラーメン屋で遭遇した「ヤバい人たち」

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