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 この時は結果的に店員が折れ、大盛りを提供することになったという。

「でも、店サイドも腹が立ったのか、明らかに普段の大盛りよりも量が多めな超山盛りのチャレンジメニューみたいなラーメンを出してました。

 ニヤニヤする店員を尻目に、男は目を白黒させながら食べ進め、時間をかけてなんとか完食。すると店員が『お客さん、これまったくブタに手がつけられてないんですけど。ブタも食べきらないと完食じゃないですから』と注意したんです。男は『俺はいつもブタは食べない主義なの! ラーメンを食べに来てるんだからブタは食わなくても完食なんだよ!』と大抗議。あきらかに男のほうが分が悪いんですが、それから数分間、完食か完食じゃないかの押し問答が続いていました。

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 完食したら値段がタダになるというシステムでもないので、どっちでもいいじゃないかと思いましたけど、やっぱり二郎系は客も店員も普通じゃないプライドを持っているようですね」

ミシュラン店で「これがセップ茸か…」とメンマにうっとり

 たかがラーメンとはいえ、こだわりを持ったマニアにとっては食べるだけで真剣勝負。それに加えて近年はラーメンも食事として進化しているので、いわゆるグルメや食通といった高級料理を好んでいる層も店に訪れるという。

「そのラーメン店はミシュランで星を獲得したという名店で、貝類から出汁を取ったスープに、トリュフやセップ茸を使ったオイルを配した繊細なスープがウリなんです」

写真はイメージです ©iStock.com

 大学生の栗田翔さん(仮名)は、そんな有名店でグルメ客に遭遇したという。

「僕が食べていたら、隣のテーブルに『ミシュラン』という肩書に釣られてきたのがミエミエなカップルが座ったんです。男のほうが誘ったみたいで、彼女に『ここはビブグルマンじゃなくて、ちゃんと星を獲ってるからね』などと、さっきスマホで調べて得たような知識を披露してました。

 ラーメンが出てきて、男がスープを一口飲むと『ウン、澄んでるね』と、味なのか見た目なのかわからない感想をひとこと。あげくの果てに、メンマを箸でつまんで『これがセップ茸か……』と口に放り込み、『この食感と香り……さすがだね』とメンマを噛み締めながら目を閉じてウットリ。彼女も何も突っ込まず、まわりのお客さんからも冷たい目で見られてました」