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その結果は……

 結果的に見えたのは、アメリカと同様に日本も男性アーティストが大勢を占めてきたことだ。それが以下のグラフである。

 

 過去52年間で、女性アーティスト(ソロ+グループ+女性Vo混成グループ)の楽曲が50%以上を占めたことは11回しかない。70年代と80年代は各3回ずつ、90年代は2回、00年代は1回、10年代は2回と、年代によって大きな変化もない。

 もっとも割合が高かったのは1986年の64%だ。それは、おニャン子クラブがフルに活動した一年だった。この年、オリコンランキング上位50曲のうち14曲を、おニャン子クラブやメンバーのソロ曲が占めた。また、中森明菜や渡辺美里、荻野目洋子、小泉今日子などの女性ソロ歌手も上位に入っている。

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 次に割合が高かったのは60%だった1977年だ。この年もピンク・レディーをはじめ、山口百恵やキャンディーズなど女性アイドルが大人気だった。グループアイドルとソロアイドルがともに活躍した時代は、女性アーティストのヒットが目立つ年になりやすいのかもしれない。

 しかし、00年代になると男性アーティストが圧倒的に有利となる。とくに2003~2009年の7年間は70%以上を超えている。なかでも2008年は80%にもなった。

 EXILEもいるが、その多くを占めるのはやはりジャニーズだ。これはCDがいよいよ売れなくなっていった時代に、ジャニーズのCDが確実に売れたことを意味する(同時にこれはビルボード登場以前のオリコンランキングのバグでもある)。AKB48が本格的にブレイクする2009年まで、00年代は嵐とKinKi Kids、SMAPを中心にジャニーズの人気がさらに強まった。

後編に続く


※註釈:

 調査対象が同じチャートのデータではないので、この結果には恣意性が含まれる。だが、2010年以降はCDランキングを続けてきたオリコンよりも、多様な音楽メディアを参照してチャートを描いてきたビルボードのほうが納得度が高いので、こちらのデータを採用せざるをえない。継続的に機能してきた完全なデータが存在しない以上は、残念ながらこの手段を採ることは避けられない。

 オリコンとビルボードはそもそも性格が異なる。レコード販売数のランキングとして始まったオリコンは、(2018年末から合算ランキングを始めたものの)現在までCDを中心とするパッケージを軸にしてきた。結果、2010年以降はAKB48グループやジャニーズがその多くを占める状態となった(「紅白落選も必然だった…AKB48が急速に『オワコン化』してしまった4つの理由」2020年12月27日)。

 周知の通り、00年代後半から音源ダウンロードが普及し、10年代中期からはストリーミングサービスが始まり、われわれが接する音楽メディアは多様化した。こうした状況においてもCD販売に固執してきたオリコンは、10年代にヒットチャートとして機能不全となってしまった。

 その代わりに出てきて広く使われるようになったのが、日本でも事業展開を始めたビルボードだった。このチャートは、現在CDやストリーミングサービスなど8つの指標をもとに構成され、各指標の比重も半年ごとに見直されている。また、オリコンと異なり曲単位でチャートを構成する特徴もある。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。