紅白=男女の組分けが問題視されることが目立ち始めた『NHK 紅白歌合戦』。今年は紅から白にグラデーションするロゴを採用し、NHKは「『多様な価値観』を認め合おうという思い」を込めたと発表している。そして、司会者では紅白の組別が廃止された。
一方、アメリカでも日本でも、ヒットチャートを調査すると男性アーティストのほうがヒットする傾向が長らく続いていることが前編で確認された。
ジェンダー平等を目指すときに、『紅白』はどうあればいいのか。音楽チャートの分析を進めて考える──。(全2回の2回目/前編から続く)
00年代には38%もの差が
ここからは音楽ランキングのジェンダー比について、まず10年ごとの年代別(20年代は2年分)で70~20年代までを確認していく。
そうすると、80年代は5%差まで縮まったものの、00年代は前述したジャニーズ人気によって38%もの差が生じている。集計範囲を上位30組や上位10組に変えても、男性アーティストの人気が高い状況に大きな変化は見られなかった。
ランクインした回数でも同じ傾向が見られる。
70~20年代における上位各5組は、39組中22組(56%)が男性アーティストだ。6つの年代のうち4年代は松田聖子や浜崎あゆみなどがトップだが、それは女性アーティストのヒットが突出することを意味している。
また50位以内の割合が男性アーティストよりも少ないことも踏まえれば、女性アーティストの多様性が乏しいことを示唆しているのかもしれない。
なぜ男性アーティストの方が人気なのか?
こうしたヒットチャートの調査から見えてきたのは、アメリカと同様に日本でも男性アーティストの人気が高いことだった。
こうした結果となったのは、当然のことながら音楽ファンの聴取傾向によるところが大きい。社会学における若者研究では、男女ともに男性ヴォーカルのアーティストを好む傾向がすでに確認されている。