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なぜJ-POPは韓国に完敗した? 「10年代の音楽業界」が依存したAKB商法という“ドーピング”

AKB48はなぜ凋落したのか #2

2020/12/27

 11年連続出場していたAKB48の『NHK紅白歌合戦』落選。それが、この5年ほどに生じた4つの要因の結果であることは前編「紅白落選も必然だった…AKB48が急速に『オワコン化』してしまった4つの理由」で解説した。

 広く使われるようになったビルボードチャートは握手券など特典付きCD販売による“人気錬金術”=“AKB商法”を機能不全とし、指原莉乃などの主要メンバーは卒業・離脱、ファンがメンバーを襲うNGT48の不祥事が生じ、そして新型コロナの直撃によって“AKB商法”が吹っ飛んだ──それがAKB48凋落のプロセスだ。

 この後編では、そんなAKB48と日本の音楽業界の未来について考えていく。(全2回の2回目/前編を読む

AKB48(2012年撮影) ©時事通信社

秋元康は何をハッキングしたのか?

 AKB48の前途は多難だ。

 オンライン握手会などをやっているグループもあるが、それがどれほど実際の握手会の代替となるかは見えない。たとえファンがそれで納得してCDを大量購入し続けたとしても、ビルボードチャートではそれが人気の証とはならない。“人気錬金術”はもはや機能せず、そのタネも明かされた。

 結局、秋元康がAKB48でやったのは、古いメディア(CD)から新しいメディア(インターネット)に切り替わりゆく過渡期に、機能不全となりゆく人気指標(オリコン)をハッキングし、その“人気錬金術”(AKB商法)でギョーカイ(音楽、テレビ、芸能界)を占拠したことだった。

前田敦子は2012年にAKB48を卒業 ©getty

 AKB48は劇場を基盤にインターネットを積極的に活用していたように見えたが、結局のところは従来のメディアが弱体化していく混乱期にその隙を突いたにすぎない。CDや地上波テレビなどのレガシーメディアが、完全にインターネットに相対化された現在においては、同じ手法は機能しない。

K-POPが人気を拡大しはじめた

 一方、こうした2010年代後半以降に人気を拡大させ続けてきたのがK-POPだ。ガールズグループでは、2017年からのTWICEとBLACKPINK、2019年からは秋元康も携わっているIZ*ONE、そして日本で生み出されて今年大ヒットしたNiziUがそうだ。

 なかでもNiziUは、メンバーのほとんどを日本出身者とし、オーディション番組でメンバー個々に親しみをもたせて、日本のマーケットに強く訴求した。加えて、日本のアイドルではほとんど見られない高いパフォーマンス能力を備え、楽曲もグローバル・スタンダードに近いダンスポップを日本で受け入れられる程度のハードルに設定して送り出してきた。

NiziU『Step and a step』(エピックレコードジャパン)

 AKB48がメンバーのパーソナリティに基盤を置いてファンに訴求しているのに対し、NiziUは両方の要素を兼ね備えているハイブリッドだ。人気が出るのは当然だ。

 K-POPがやってきたことはシンプルだ。インターネットにアジャストするのはもちろんのこと、もっとも重点を置いているのは、ちゃんと音楽を創り、しっかりとしたパフォーマンスができるメンバーを揃えることだ。BTSも含めK-POPが続けてきたのは、このシンプルかつ基本的な姿勢──“音楽をちゃんとやるアイドル”だ。