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2020/12/27

 AKB48やジャニーズなど、日本のアイドルは音楽やパフォーマンスを長らくおろそかにしてきた。オーディション番組『PRODUCE 48』のファイナリストでもあった高橋朱里(当時AKB48)は、筆者のインタビューに対して「『自分はAKB48でこれをやってきたから、これができる』ということは何もなかった」と話した(「『PRODUCE 48』最終回でデビューを逃した高橋朱里がいま思うこと」2019年1月21日『現代ビジネス』)。当事者が認めるほどに、その差は大きい。

日本の「アイドル戦国時代」は終わった

 松田聖子や中森明菜などが人気だった1980年代中期までは、アイドルにも十分な歌唱力が求められ、それによって人気も決まっていた。しかし80年代中期以降、右肩上がりに成長するドメスティックなマーケットに安住した結果、アイドルには音楽やパフォーマンスの質がさほど求められないようになっていく。しかも、その端緒となったのは秋元康が手掛けたおニャン子クラブだ。

 以降、長らくアイドルに必要とされたのは、メンバーたちのひととなりや、バラエティ番組でのトークの能力だった。1989年に『ザ・ベストテン』が終了した後、地上波のプライムタイムでは『ミュージックステーション』(テレビ朝日)や『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ)のように、芸人がMCをし、トークにも重点が置かれた番組しか続かなかったのもそのためだ。

大島優子は2014年にAKB48を卒業 ©文藝春秋

 しかし、平成とほぼ一致するその文脈がそろそろ終わろうとしている。K-POPという黒船が怒涛のように押し寄せているからだ。すでにTWICEやBLACKPINKの人気は、同じく女性ファンをターゲットとしていたフェアリーズとE-girlsを終焉に追い込んだ。さらにNiziUは、ドメスティックな空間で競い合っていた日本のアイドルシーンを一瞬で変貌させた。内戦状態だった日本の「アイドル戦国時代」は、韓国から来た黒船の大砲一発で吹き飛んでしまった。

 こうしてローカルな平成は終わり、グローバルな2020年代が幕を開けた──。

日韓で別々にプロデュースされているIZ*ONE

 K-POPの日本進出は、その存在自体がAKB48などにとっては新たな未来の示唆となる。答はすでに明示されている。グローバルマーケットに適応できる音楽をちゃんと創り、メンバーたちはしっかりとしたパフォーマンスをすること──これだけだ。ソリューションはもう見えている。

 もちろん、そのハードルはきわめて高い。K-POPが20年かけて培ってきたことを一朝一夕にはクリアできないだろう。しかし、現在の打開策はそれしかない。

IZ*ONE ©getty

 韓国と日本のアイドルの音楽における人気を考える際、非常にわかりやすい指標となるグループがある。同じメンバーで同一グループでありながらも、日韓でべつべつのプロデュースをされているIZ*ONEだ。2019年の日本デビュー以降、日本でのプロデュースを手掛けているのは秋元康だ。