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坂道、ジャニーズが一緒に歌うと“落選”の合図? 『紅白歌合戦』最大のミステリー“演歌のバックアップ問題”を徹底検証してみた《次の“黄信号”はあの女性歌手?》

坂道、ジャニーズが一緒に歌うと“落選”の合図? 『紅白歌合戦』最大のミステリー“演歌のバックアップ問題”を徹底検証してみた《次の“黄信号”はあの女性歌手?》

2021/12/31
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森進一の「ダメよ~ダメダメ」で日本エレキテル連合が登場

 事前に勇退を表明していた森進一は1人で『おふくろさん』を熱唱したが、『心のこり』の細川たかしにはNMB48、クマムシ、ピスタチオ、とにかく明るい安村が5つのペアを組んで踊った。『東京五輪音頭』の伍代にはジャニーズ事務所のSexy Zone、『曼珠沙華』の藤には生駒里奈、生田絵梨花、白石麻衣などの乃木坂46が後ろで盛り上げた。彼らのラスト5年を見ると、細川はすべての年で、伍代と藤は4年も「バックアップ」されていた。和田は最後の2年、後ろでSMAPやTOKIOなど多数の出場者が手拍子をする中で歌っていた。もちろん、大勢で盛り上がりやすい歌という特性も関係していたのだろうが。

 一方、森はラスト5年で一度もステージで著名人と絡んでいない。ただ、2014年にはステージに向かう直前に「いいじゃないの~」「ダメよ~ダメダメ」のフレーズでブレイクした日本エレキテル連合(橋本小雪、中野聡子)が登場。司会を務めた嵐の大野智とともに、こんな会話を交わしている。

中野:森先生にぜひご挨拶をしようと思ってきました。

 

大野:森さん、こんなこと言ってますけど、どうですか?

 

森:これ実はね、今から46年前の『年上の女(ひと)』という歌の中のフレーズなんですよ。♪ダメよ~ダメ~ダメ って入ってるんですけど。ええ、ええ。

 

大野:え? ということは、お二人のブレイクは森さんのおかげですか?

 

森:まあ、元祖っていうことですよね。

 

中野:でも本人にそう言われたら、(周りに)違うって言われて、もう言えなくなっちゃうからね。これを機に私たちのモノって言っても、“いいじゃないの~”。

 

森:……ダメよ、ダメ、ダメ。

 会場が爆笑する中、森は舞台に歩を進めて紅白で初めて『年上の女』を歌った。突如として46年前の歌が選曲された背景には、日本エレキテル連合のブレイクがあったのだろうか。

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森進一にからむ日本エレキテル連合の二人(NHK 2014年「紅白歌合戦」)
「年上の女」の「だめよ だめ だめ」の部分を歌う森進一(NHK 2014年「紅白歌合戦」)

五木ひろしにはバックでチコちゃんがドラムを叩く演出も

 今年不選出の五木ひろし(10月17日のコンサートで終了表明)も、紅白のバラエティ化に染められた。50回目の出場を果たした昨年は1人で『山河』を熱唱したが、2019年には日向坂46など多数の出場者が後ろで盛り上げる中、岡村隆史と武田真治がサックスを吹き、チコちゃんがドラムを叩くシーンまであった。トリを歴代1位の13回も務めた功労者に対し、やり過ぎの演出のように感じた。五木はラスト5年で3回の後方支援を受けている。

2019年の五木ひろしの登場場面。日向坂46など多数の出場者が後ろで盛り上げる中、岡村隆史と武田真治がサックスを吹き、チコちゃんがドラムを叩く(NHK 2019年「紅白歌合戦」)
五木ひろし ©️文藝春秋

 このように“著名人のバックアップ体制”が敷かれ始めるということは、紅白から離れる「危険信号」でもあるといえそうなのだ。

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