森進一の「ダメよ~ダメダメ」で日本エレキテル連合が登場
事前に勇退を表明していた森進一は1人で『おふくろさん』を熱唱したが、『心のこり』の細川たかしにはNMB48、クマムシ、ピスタチオ、とにかく明るい安村が5つのペアを組んで踊った。『東京五輪音頭』の伍代にはジャニーズ事務所のSexy Zone、『曼珠沙華』の藤には生駒里奈、生田絵梨花、白石麻衣などの乃木坂46が後ろで盛り上げた。彼らのラスト5年を見ると、細川はすべての年で、伍代と藤は4年も「バックアップ」されていた。和田は最後の2年、後ろでSMAPやTOKIOなど多数の出場者が手拍子をする中で歌っていた。もちろん、大勢で盛り上がりやすい歌という特性も関係していたのだろうが。
一方、森はラスト5年で一度もステージで著名人と絡んでいない。ただ、2014年にはステージに向かう直前に「いいじゃないの~」「ダメよ~ダメダメ」のフレーズでブレイクした日本エレキテル連合(橋本小雪、中野聡子)が登場。司会を務めた嵐の大野智とともに、こんな会話を交わしている。
中野:森先生にぜひご挨拶をしようと思ってきました。
大野:森さん、こんなこと言ってますけど、どうですか?
森:これ実はね、今から46年前の『年上の女(ひと)』という歌の中のフレーズなんですよ。♪ダメよ~ダメ~ダメ って入ってるんですけど。ええ、ええ。
大野:え? ということは、お二人のブレイクは森さんのおかげですか?
森:まあ、元祖っていうことですよね。
中野:でも本人にそう言われたら、(周りに)違うって言われて、もう言えなくなっちゃうからね。これを機に私たちのモノって言っても、“いいじゃないの~”。
森:……ダメよ、ダメ、ダメ。
会場が爆笑する中、森は舞台に歩を進めて紅白で初めて『年上の女』を歌った。突如として46年前の歌が選曲された背景には、日本エレキテル連合のブレイクがあったのだろうか。
五木ひろしにはバックでチコちゃんがドラムを叩く演出も
今年不選出の五木ひろし(10月17日のコンサートで終了表明)も、紅白のバラエティ化に染められた。50回目の出場を果たした昨年は1人で『山河』を熱唱したが、2019年には日向坂46など多数の出場者が後ろで盛り上げる中、岡村隆史と武田真治がサックスを吹き、チコちゃんがドラムを叩くシーンまであった。トリを歴代1位の13回も務めた功労者に対し、やり過ぎの演出のように感じた。五木はラスト5年で3回の後方支援を受けている。
このように“著名人のバックアップ体制”が敷かれ始めるということは、紅白から離れる「危険信号」でもあるといえそうなのだ。