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「ギリギリのところまではいいけど…」“限界突破”する氷川きよし(44)に美川憲一(75)がした「王子様」アドバイス《紅白“落選の瞬間”インタビュー》

「ギリギリのところまではいいけど…」“限界突破”する氷川きよし(44)に美川憲一(75)がした「王子様」アドバイス《紅白“落選の瞬間”インタビュー》

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美川 さっちゃん(小林幸子)も負けず嫌いだし、私も負けず嫌いですから。向こうの衣装がどんどん大きくなれば、じゃあこっちは動いてやるわよ、みたいな。私は紅白のために宝石も新しく買っていたので、衣装代も合わせると毎年億単位のお金がかかりました(笑)。しかもお互い直前まで徹底して情報はシークレット。さっちゃんとは本当は仲がいいんだけど、紅白前はできるだけ接触を避けて口も利かなかった。それで、仲が悪いと思った人たちも多かった。そういう演出も面白かったわね。

――小林さんとの不仲が演出だったとは驚きました。それにしても毎年あれだけの巨大衣装を作るのは大変そうです。

Ⓒ文藝春秋

美川 紅白出場の内定は毎年10月終わりくらいから11月の初めでした。NHKから曲をリクエストされてから衣装の準備をするので、私の衣装を作る事務所の制作スタッフは本番直前まで徹夜作業続きでしたよ。

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――一番大掛かりだったのはいつですか?

美川 1998年に「別れの旅路」で出場して、世界的マジシャンの引田天功さんの演出でイリュージョンをやった時ね。あの時は、万が一を考えて15億円の保険をかけました。たった4分間のステージにあれだけのお金をかけたのは後にも先にも私だけよ。でもね、2006年からは毎年「さそり座の女」を打診されて、衣装やアレンジは変えていたけど、心の中では「もうすぐ紅白に出るのは終わるな」って思ってたわ。

落選のときはNHK職員がやってきて…

――2010年の美川さんの紅白落選には日本中が驚きましたが、どんな形で連絡を受けたのですか。

Ⓒ文藝春秋

美川 10月の初めくらいだったかしら。NHKのスタッフが直接、私のところへ報告に来ました。「今年は残念ですが出場がありません。申し訳ございません」と言われて、私は「全然平気です。本当によくしていただいてありがとうございました」と伝えました。いつもは紅白で歌って、年明けにロスに行ったりしていました。でも落ちて、これでやっとロスやラスベガスでニューイヤーできる。しかもちょうど落ちる前年に、ビバリーヒルズにコンドミニアムを買ったところだったから、これからは自分の時間を楽しもうと思ったの。

――ショックはありませんでしたか。

美川 あの美空ひばりさんだって落ちるんですもの、年とともにみんな落ちていくのよ。それに紅白だけが歌手の生き方じゃないでしょう。

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